今シーズンのMVP争いは既に一強状態に突入している。
頂点に君臨するのが、ゴモリー。
6回の登板で全連対、300ポイントのプラスは、圧巻の一言だ。
過去2回、神域リーグにはMVPを獲った選手がいるが、やはりそのどちらもに、華があった。
しかし、今年のMVP筆頭候補であるゴモリーは、そのどちらとも、少し違うような気がしている。
確かに、見た目は可憐な少女で、声も可愛らしく、それこそ、華というのには相応しいと思うのだが、ゴモリーの真骨頂は、そこではない。
チーム首位も見える位置で迎えたレギュラー最終節。
第2試合の先発を任された彼女の麻雀を見ながら、今シーズン圧倒的な活躍を見せる、強さの秘訣にもう一度迫ってみようと思う。
第10節 第2試合
東家 龍惺ろたん (チームヘラクレス)
南家 空星きらめ (チームゼウス)
西家 ゴモリー (チームアキレス)
北家 村上淳 (チームアトラス)
開幕東1局、まず面白い手札を見せてくれたのは、昨年MVPの少女だった。
ゼウスの空星きらめは、この手牌から出てきたを。
なんと大明槓。
通常、大明槓というのは麻雀の中であまり選択されない。
簡単に理由を説明すると、鳴きをしていない相手には裏ドラを増やして、自分はその恩恵に与れないからだ。
しかし空星のこの大明槓は非常に面白い。
自分の手がすぐリーチに行くには愚形が残っていること。
そして、染め手にも行きにくく、現状ドラも無く打点が無い事。
この手は上家からカンが出たら鳴きたいので、その時に打点を上げておこうという算段だ。
村上からのリーチが入るものの、押し切って400、800のツモアガリ。
静かな立ち上がりとなった。
東2局
ゴモリーに良い手が入った。
が、またしても村上からの先制リーチを受けている。
ここは押しを選択。
リャンカンの部分が埋まれば待ちのテンパイ。
安全牌も乏しいこの手からは、ある程度までは攻めた方が良いと判断。
次巡、を持ってきて選択。
今度は、456三色が見えてきた。手牌の価値が上がったために、これはを押したい。
が、ここでゴモリーは中スジのを打ってオリを選択。
三色があるとはいえ、愚形残りで、ピンズとソーズの2スジは押せないと判断。
直前に親の空星が通っていないを押したことも関係しているかもしれない。
直後、村上のツモアガリ。開かれた待ちは……待ち。
まずはひとつ、確固たる守備力を見せてくれた。
東3局
迎えた親番。
重なった瞬間にドラのをポンできてテンパイ。絶好の待ちは親の満貫、12000点だ。
「ナイス。絶対アガるからね」
ゴモリーの打牌クリックに少しだけ力が籠る。
「ナイスぅ! ヘラクレスからの直撃でかい! 」
速すぎるテンパイに、ヘラクレスの龍惺が捕まった。
12000のアガリで、ゴモリーがトップ目へ。
第1試合でチームメイトのえるが大き目の2着を獲得し、ヘラクレスとの差がかなり縮まった。
そんな首位争い相手のヘラクレスからの直撃なのも大きい。