「美女か野獣」~岡田紗佳は野獣の夢を見るか?~ 【麻雀最強戦2025 美女と野獣】観戦記【A卓】文:カイエ

「美女か野獣」

岡田紗佳は野獣の夢を見るか?~

【A卓】担当記者:カイエ 2025年8月23日(土)

 

事前の、Xによる勝ち上がり予想アンケート。

前人未到の7年連続7度目のファイナル進出を狙う鈴木大介(日本プロ麻雀連盟)という大本命を抑え、堂々の得票トップは高宮まり(日本プロ麻雀連盟)。少し意外な結果に思われた視聴者も多かったのではないか。

しかし、試合後のインタビューで「野獣として出てきた」と真顔でボケてみせた高宮は、何を隠そう、あの「ボディ麻雀」の使い手なのであり、今回の「美女枠」選出については誰しも異論はないだろうが、その実彼女は「野獣」的な麻雀打ちとしても夙に知られているのだ。

ちなみに「ボディ麻雀」とは、実況の日吉辰哉が発した、最強戦2022での前原雄大の戦いぶりを初出とし、彼の力強く自由な麻雀を形容して名付けられた称号だ。

 

ボディ麻雀って何?|近代麻雀黒木

 

ならば高宮は、ひとりで「美女と野獣」を体現していることになる。人間・高宮は美女として、雀士・高宮は野獣として。アンケートで票を集めたのもむべなるかな。そもそもが英語表記でバーサーカー(狂戦士)と呼ばれる「ベルセルク」に「淑女」を冠したその異名からして、彼女は「ひとり美女と野獣」そのものなのだ。

東2局

リーチ・ツモ・三色に、裏ドラを2枚乗せて3000・6000のあがり。

まだ5巡目という早さなら、タンヤオ牌のシャンポン形に両面変化を求め、トリダマにする打ち手も多そうだが、果敢な即リーチが功を奏した。まだ序盤ながら、淑女なベルセルクが大きなアドバンテージを得る。

2人勝ち上がりの、1枠は決まりか。

残る1枠は、美女か、野獣か。

ちなみに「美女と野獣」といえば、言わずと知れたディズニー映画の名作だが、フジテレビ系ドラマ『美女か野獣』(2003年)において、主演の松嶋菜々子の役名は鷹宮(たかみや)真なのだった。こんなところにも、高宮を事前アンケート1位にした視聴者の慧眼があったとかなかったとか。

さらにこの高宮の加点により、席の並びから、岡田との共闘の図式が浮上する。局消化を目論む高宮と2着抜けOKの岡田との上下(かみしも)の関係は、美女タッグ(牌×牌)の結成を思わせた。

 

岡田紗佳(日本プロ麻雀連盟)の2024-2025Mリーグは、惨憺たる結果に終わった。-506.5 の成績は、サクラナイツのレギュラーシーズン敗退に直結してしまう超絶不振といえよう。だが本人は「内容は悪くない」と胸を張る。不運な下振れに見舞われはしたが、自分の麻雀を崩すことはなかったということだろう。Mリーグ初参加の年から比べて、岡田ほど成長したと評されるMリーガーはいない。実際、近年の岡田の対局姿勢からは、自信と強気を感じさせられることが多かった。彼女もまた、野獣の精神を秘めた「攻め」の雀風なのだ。

 

南1局

親の高宮から、捨て牌3段目の入口ながら、先制リーチが飛んできた。

対する岡田もタンピン形で追いつく。

内なる野獣を解放して追っかけリーチもあるところだが、

淑女な彼女は、静かに【3マン】を縦に置いた。

待ちの【3ピン】【6ピン】はリーチ者の現物だ。供託もあり、安目の出アガリ2000点でもほぼ2着と並び。巡目も深い。ダマテン充分と考えた。

結果は、目論見通り大介から【3ピン】が出て2000は2300のアガリ。2着に浮上して、親番を迎えた。

一方、安いながらも放銃に回ってしまった大介は苦しんでいた。東場はここまでノーホーラ。手は入ってもツモが効かない。依然、接戦であるとはいえ、記録的な快進撃はストップするのか。

鈴木大介。言わずと知れた「BEAST X」所属のMリーガー。文字通り、野獣代表である。美女の要素は微塵もない。彼の野獣枠に疑いの余地はない。名実ともに、野獣(by日吉)。

個人的に、いま最も関心のあるMリーガーだ。

事前インタビューにて大介は語る。

「むちゃくちゃ実力上がってますね。自分自身の。多分2クラスくらい上がってて。(中略)めちゃめちゃ手を読むようになって。精度を上げるだけです」

「あとは慣れなんですよね。一番最初やってる時は、麻雀打ってて、一局ごとに疲れて具合悪くなって、本当に吐き気がするくらいの勢いで読んでいたんですが」

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