「サヤカとさやか」の対決に「石井一馬が黙ってない」【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/14 第2試合】担当記者 カイエ

「サヤカとさやか」の対決に
石井一馬が黙ってない」

文・カイエ【火曜担当ライター】2025年10月14日

出場選手が発表される。
まず、見どころはどこかと考える。
展開を空想する。
結果を妄想する。
テーマはどうするか。
対立図式はあるか。軸はどのあたりに置くか。誰がこの物語の主役か。

そんなことを考えているうちに、選手が入場し、卓に着く。
闘いが、はじまる。

第2試合

東家:石井一馬EARTH JETS
南家:岡田紗佳KADOKAWAサクラナイツ
西家:茅森早香セガサミーフェニックス
北家:鈴木たろう赤坂ドリブンズ

焦点となるのは、一馬以外の3者に、今シーズンの初トップが生まれるかどうか。
あるいは、現在最下位と苦しむEARTH JETSのドラ1石井一馬が、自身2勝目を手にし、チームの救世主となるか。

東1局

好配牌から【中】を鳴き、更にドラの【6ピン】を重ねた茅森。
シャンポン待ちのテンパイ。高目満貫
開局早々のチャンスだ。
すると、あっさり【發】が岡田から出て、

【發】【中】・ドラ2の満貫のアガリ。
わずか5巡で8000点を岡田紗佳から奪い、「さやか対決」の第1ラウンドは茅森早香に軍配。

東2局

局後のインタビューでも語られたこの局。

高目三色のダマテンを入れている一馬の手が止まる。思考の焦点は、たろうが捨て牌の中段で切っている【5ソウ】。たろうは、赤+ドラである【5マン】含みのリャンメンチーから発進し、さらに【1ピン】をチーして、打、【發】。三色も一通もケイテンもあるが、仮に役牌が残っているとすれば、【東】だ。
さらに、仮に【東】が暗刻の場合、件の手出し【5ソウ】が、危険牌の先切りも意図したリャンメン固定という可能性もある。【5ソウ】【發】の切り順に、一馬の思考はフォーカスされている。

一般的に、特に鳴いている場合は、先切り固定されることは少ない。
【4ソウ】【5ソウ】【5ソウ】にせよ【5ソウ】【5ソウ】【6ソウ】にせよ、ポン材はテンパイまで残しておきたいからだ。
鳴き手に「またぎ」が通りやすい理由でもある。
しかしこの局は、親の岡田がダブ【東】を4巡目に切っていて速そうだ。
親の動向は、子方の共通認識。
一馬は、たろうが岡田を速そうだと感じて、のちの危険牌をここで逃した可能性について考慮していた。他家の読みをも、己の読みの材料に加える。見えている牌・見えていない牌のことだけ考えているのでも足りない。プロは、強者は、他家の思考すら読まねばならないのだ。まさに心理戦の要素もある、麻雀というゲームの奥深さだろう。
実際には、たろうの鳴きはバラバラの手牌からの発進だった。

たろうもまた局後に「親のおかぴがダブ【東】切りで速そうに見えた」と語っている。だから、間に合わなさそうという感覚で、鳴いた方がマシだと発進した。タンヤオ、三色、役牌。何でもござれ。
そう。親の動向は、子方の共通認識。
一馬は、たろうもそう考えていると考えて、先切り固定の【5ソウ】周囲の、上記【3ソウ】が当たり得ると考えたのだ。

これは、麻雀における「読み」の醍醐味である。
捨て牌から手牌を読むことだけが読みなのではない。
たとえば、リーチにオリているはずの他家から危険そうな牌が打ち出されたら、その手に「壁」が存在するのではないかと読み、複数枚固められている牌の在り処まで読むこと。
たとえば、相手の点数状況から、相手はこう考えているだろうと推理し、その後の選択を読み、自分の方針に活かすこと。
他者の思考を反射して、読む。これができれば一流だろう。

結果は、それでも自身の手牌価値から勝負にいった一馬が、見事にハイテイで高めをツモり、ハネ満のアガり。ツモ・ハイテイタンヤオピンフ・三色・ドラという美しい3000・6000。

たろうの手は確かに【東】バックだったが、【3ソウ】を勝負にいけた理由のひとつが、一馬が知る、いや誰もが知る、たろうの鳴きのレンジの広さだろう。速いかもしれないし、バラバラかもしれない。ブラフもあるし、本物であることもある。特に赤坂ドリブンズの面々にはその傾向がある。そうした「人読み」もまた、重要な読みのひとつなのだ。

あ、こういうやつね。

ドリブンズ名物として、最近も話題になったこれとか。

東3局
本局、まずは西家の一馬の手からご覧いただこう。

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