二階堂亜樹と巡る
大連荘の旅 in Mリーグ
文・中野巧【火曜担当ライター】2025年10月21日
本日の第一試合は道中10本場もあり、長期戦となった。
所要時間は約2時間20分。
これは、東京発の新幹線は新大阪に到着し、羽田からソウルに行く時間と同じである。
ちなみに歴代最長の試合は2022-23シーズンの黒沢咲選手が11万点越えのトップをとった試合で、所要時間は約3時間30分。
羽田からグアムに到着するかどうかの時間だ。
私はこの長旅をアテンダントに扮して振り返っていきたい。
いざ、出発!

第1試合
東家:二階堂亜樹(EX風林火山)
南家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
東2局 1本場
この旅行、最初に向かうは瀬戸熊の親番でございます。

こちら右手に見えるのは9巡目、瀬戸熊の手牌。
を切って目いっぱい受け入れを残すか。

瀬戸熊の選択は打。
“目的地”を七対子に設定した一打だ。
–
が場に1枚しか見えておらず、チートイツに決めるとしても
を切ってメンツ手も見ながらの進行となる人が多そうだ。
その後、狙い通り残したをツモ、チートイツの1シャンテン。

次巡にドラのを引いてテンパイ。
単騎で即リーチを打つ。

結果、手牌がよく1シャンテンだった伊達から一発でが放たれ18000点のアガリに。
瀬戸熊は一切無駄のなく、目的であるチートイツにたどり着いた。
これは名ナビゲーターと言わざるを得ない。
東2局 2本場
瀬戸熊の配牌がこちら。

すでに2シャンテンの好配牌だ。

4巡目にを引き入れ、カン
で即リーチ。
ダマテンでも7700点あり、引きや
・
引きで形が良形に変化するため、ダマテンを選択してもおかしくない。
先ほど正確な道順で最短で目的地であるハネ満にたどり着いた瀬戸熊が、即リーチに踏み切る材料は3点ある。
1点目は、リーチを受けた選手は巡目が早ければ早いほどまだ手が整っていないことが多いため、手牌を狭める、中には壊す選択を取りやすいこと。
2点目は、ドラがでドラ周りの
は誰もが使いたい、使える牌であることからダマテンにしても出アガリが他の牌よりも期待できない。
3点目は、対人ゲームである以上、相手に与える印象やプレッシャーの積み重ねが勝負に影響を及ぼすのは数々のスポーツが証明しているとおりだ。
想像してほしい。
あなたは今、Mリーグで選手として出ている。
対面には瀬戸熊、上下にはいつも画面で見ている亜樹と伊達がいる。
スタジオは静寂で、牌の音と選手のわずかな息遣いしか聞こえない。
この状況で前局、ダマテンでも満貫ある手を即リーチし、ハネ満をアガった瀬戸熊が、5巡目に親リーチをかけてきた。
自分の手は2シャンテンかよくて1シャンテン、打点は最悪リーチのみ。
その状況だと絶対に押せない!
もっと手が良くて押すとしても相当放銃したときを想像し、ストレスを感じながら打牌するだろう。
瀬戸熊はベテランでずっと第一線で戦ってきているため、技術面だけでなく、こうしたメンタル面の影響も加味し、即リーチを選んだのだろう。