てにしあわせを、不死鳥の復活劇
文・小林正和【金曜担当ライター】2025年10月24日
第2試合
東家:勝又健志(EX風林火山)
南家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
西家:東城りお(BEAST X)
北家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)
対局開始の合図が響いた直後、起家の勝又はツモ牌に手を伸ばさなかった。その代わり、視線を斜め下に向ける。
理牌の途中で手牌を少し崩してしまった下家が、それを整えるのを静かに待っていたのだ。そして、その下家に座っていたのが、
昨年度のMVP、醍醐大である。
──24233243344
この数字が何を意味しているか、お分かりだろうか。
これは、フェニックスの直近11戦の着順を表している。
そう、最後にチームがトップを飾ったのは10月9日、堂岐の勝利が最後だ。つまり、チームはしばらく、その大きな燃えさかる翼を羽ばたかせずにいたのである。
昨年度の優勝チームは、翌年に苦しむ──。
それは、Mリーグにおける“ジンクス”のようなもの。
そんな悪魔じみた流れを断ち切るために。
その仕草からは、不死鳥の名を背負い、この試合に対する気合いや責任感のようなものがみなぎっていた。
だが、見えない流れというものは厄介だ。またしてもフェニックスに試練が訪れる。
東1局1本場
前巡に
を先切りし、形を一気通貫に絞った醍醐。ここで、安牌気味に抱えていた
が重なった。
気になるのは、早々に下家で中を晒している東城の存在である。
ここで、手に取ったのは
。そのまま河へツモ切りとした。
や
、
を切って
ポンの仕掛けの余地を残すルートもあったが、迷わず“鳴かない道”を辿る。
もちろん、チーされないように対応しつつも、この先に見据えていたのは、
や
を引き込んでの高打点リーチだ。更に、たとえ安目の
ツモであっても、それは十分な威力を発揮する。
今回は不本意ながらも
ツモ。
しかし醍醐は、ほんの一拍の間も置かずに「リーチ」と発声したのである。
ここから見た景色、それは役・リーチのみ。
そして、頼りないドラの
ペンチャン待ちである。
続いて、こちらは鳴きを入れている東城から見た景色。
ちょうど、ドラの
ターツを整理している最中に、上家からリーチの声が掛かってしまった。しかもその直後、裏目となる
を一発目で引き寄せてしまう。
更になんと言っても、
のトイツ落としからのリーチが強烈。
そう、これが脅威の正体だ。
中身の見えない相手からしたら、様々な幻想を抱かせるのである。
待ちの良さなのか、タンピン系の高打点を秘めているのか、まるで読めない。しかも自分はフリテンを含む形。ここでは戦う気にはなれず、すぐさま現物の
に手をかけた。
そして、親の勝又や太も受けに回り、醍醐の思惑通り一人旅になるかと思われた。
しかし。
まるで、ここまでのチームの不調を象徴するかのように、思わぬ展開が襲う。
リーチ後、東城にとってフリテン解消となる
を持ってきてしまい、それを食われてしまうと、
今度は
を持ってきてしまい、もう一つの急所であるカンチャン・ターツを捌かれ、
更に成り行き上のテンパイが入ってしまい、
極め付けは、待ちが変わった瞬間にロン牌を掴んでしまったのである。















