大海原に咲く一輪の桜 朝倉康心と岡田紗佳、長い冬を超えた2人の戦士【熱論!Mリーグ/FS3日目】担当記者:真中彰司

「勝負した結果だから仕方ない!次!」

上手くメンタルを切り替えられているようだ。

南1局

跳満に続く決定打が欲しい朝倉に、宝のような手が舞い降りる。

なんと三元牌が全て対子。恐ろしい手だ…

南家の近藤をケアしてから打ち出す。

まずはをポン。ソーズのホンイツも見ながら舵を切る。

そしてもポン!

ホンイツであれば、序盤にが切られているのはおかしい。

が晒された瞬間、場が凍り付いた。

危機を察した近藤はすぐさま撤退。多井、岡田も続いて撤退していく。

を切ってメンツ選択も正解した朝倉。

ついに大三元テンパイまで漕ぎ付ける。

その脳内には、何が浮かんでいたのだろうか。

これまでの不甲斐なかった自分か。それとも愛する妻か。

それとも、不調の自分を支えてくれたチームメイトやパイレーツクルーか。

見ている側も気が気でない。解説の瀬戸熊プロの鼓膜も限界を迎えている。

「今シーズンの大三元は俺だけでいい!」

が1枚、南家の近藤誠一に流れる。大三元の喜びを知る選手だ。

「いやいやさすがに振り込まないけどねえ?」

かたや西家には多井隆晴大三元の悲しみを知る選手だ。

そして控室には、微動だにしない船長・小林剛

最高の舞台と、最高の仲間と、最高の相手。

3つの宝箱を揃えた朝倉。

まっさらな気持ちで彼が握りしめた牌には、何も描かれていなかった。

そして彼は静まりかえった海を荒らさぬように、慈しむようにその牌を手元に置いた。

長い長い冬を抜けて辿り着いた「大三元」16000オール。

彼の背後には、金色の優勝プレートが眩く光っていた。

南1局1本場

万感の大三元ツモで、トータル首位に躍り出たパイレーツ。

これ以上離されまいと、近藤が連荘を止める。

南2局

持ち点がマイナスになってしまった岡田。

近藤の仕掛けを受けながらも、待望のリーチを放つ!

そして親に放銃しなければOKの朝倉も、ドラ4のリーチで参戦。

しかし、先にテンパイを入れていた近藤が1000オールをツモアガリ。

大トップを取られそうなこの状況でも冷静で、万に一つもブレることがない。

この安定感を崩すのは至難の業か。

岡田は跳満が見えただけに、睨みつけるような目でその手を見つめている。

南2局1本場

リーチで大量加点を狙いたい岡田であったが、2枚目のが出てしまっては仕方ない。

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