丸山にドラ暗刻のチャンス手。
かなりアガリに近い手だ。
すぐにテンパイ。
待ちが良ければリーチも考えられるところだが、引いてきたのは
カンのテンパイだ。
解説の渋川難波プロが「これはダマテンですね」と言い終わるのが早いか、気付いたら白が横に曲がっていた。
「リーチ」
・・・
―おかしい
この辺りで、この半荘うっすらと感じていた違和感が姿を現してきた。
丸山の打牌のテンポが良すぎるのだ。
正直なところ、昨シーズンの丸山はお世辞にもテンポが良いとはいえなかったと思う。
ある牌を切ろうとしては、思いとどまって別の牌に触る、というような迷いが見られる場面も多々あった。
昨年12月13日の試合ではカンをするのに約1分。
その後追っかけリーチを打つのにも約1分という大長考をしたのは記憶に新しい。
参照記事:鈴木たろうでも止められない赤坂ドリブンズ“今そこにある危機”https://kinmaweb.jp/archives/94215
泣きそうになりながら、チームを背負って打つ丸山の姿に胸を打たれたのは間違いないが、
冷めた目で見れば、リーチを掛けるのをただ迷っているだけに見えたのもまた事実だ。
そんな丸山が、あのテンパイを迷わずにリーチ。
もちろんリーチの判断自体も非常に驚いた。
トップ目、役アリ、愚形、ドラ3
ダマにする理由はたくさんある。
手替わりだって豊富とは言えないが、もちろんある。
そのような状況でのリーチなので当然驚いたが、それよりも、あの丸山が迷わずリーチに踏み切ったことに驚いたし、そしてなんだか嬉しくなった。
丸山の気合が牌に伝わったわけではないだろうが、ほどなくしてツモアガリ。
3000/6000の3本場で後続を一気に突き放すことに成功した。
対局後に丸山はこのリーチについてこう語った。
「黒沢さんのトイツ落としを見て、(押さえつけるために)リーチしようか迷っていたらテンパイしたので勢い余ってリーチしちゃいました。でもそんなに悪いリーチじゃないなと思いました。」
想像するに、丸山はシーズンオフの間、相当な数の実戦をこなしたのではないだろうか。
あのそうそうたるドリブンズのメンバー達と、数えきれないほどの実戦を。
その経験が血となり肉となり、直感的に打たせたリーチのように感じた。
丸山のアガリに火をつけられたのか、黒沢も凄いアガリを見せる。
赤赤ドラの手牌なのにをスルー。
さらに12000テンパイとなるのチーもスルーしての4000オールのツモアガリ。
セレブとしか言いようのないアガリで丸山を追いかけるが、反撃もここまで。
勝負はオーラスへ。
南4局1本場
数々の大逆転を演じてきた沢崎の親番。
この親を無事終わらせれば、丸山のトップだ。
まずは沢崎が仕掛けてテンパイ。
そしてマンガンツモで2着になる多井も満を持してリーチ。
ドラが雀頭のリャンメン。
きっちり逆転手を作ってきている。
仕掛けとリーチに挟まれた丸山の判断も早かった。