白鳥翔、してやったり! 存在感を完全に消し去り前原・沢崎・黒沢の3大怪獣戦争を制す【Mリーグ2020観戦記1/18】担当記者:山﨑和也

前原はを引くと手の内に残した。打として単騎に待ちを変える。が沢崎に通っていないので警戒したか。それともを狙いに定めたか。

対照的に白鳥は両面になったところを素直に取ってリーチをかけた。両面ならば見合うということだろう。トップ目であってもここは勝負だ。

前原はを引いて打。役無しになってしまったがここは無理をせず。点数が増えて守るものができた。

猛然と襲いかかったのはまだテンパイでない沢崎。カンを鳴いて2副露である。ほかの3者視点では強烈だ。

黒沢も撤退。通っていないのほかにさらにも引いては勝負できなかった。

結果は白鳥の勝利。ダマでもアガれるところをしっかりリーチをして加点できたのは大きかった。1300―2600は1600―2900のアガりで前原を突き放す。

南2局は沢崎のみのテンパイで流局となった。跳満をアガって以降は沢崎にいい風が吹いてこない。

南3局1本場

全員の手がなかなか進まない中で、沢崎がようやくカン待ちにできた。しかし巡目も終盤で待ちもイマイチ。いくら鬼より怖い親リーチの特権はあるとはいえ、ここはひっそりとダマテンにした。リーチを打つならもっといい形で打ちたい。

その後、前原からリーチがかかるも流局。2局連続でアガりが生まれなかったが、沢崎の親番は継続中。スッポンのようにしつこく絡みつく。

南3局2本場

供託が積まれていき、アガる価値が高い状況となっている。前原がをポンし、打としてイーシャンテン。の対子を落とせばホンイツになるが、1000点でかわすのも有力だ。

沢崎は789の三色が見える手。を引いて現実的なものになってきた。

黒沢はチートイツドラ2のイーシャンテン。このままでも6400、リーチすれば跳満まで見える手だ。点数がないので面子手を見る選択肢はなさそうか。

黒沢から出たをカンチャンで鳴いて前進。

としてカンのテンパイ。ホンイツには向かわずにサクッと仕留めるルートだ。仮に沢崎から出アガった場合でも供託と合わせて3600の加点となる。そうなればオーラスに満貫ツモ条件で白鳥をまくることができるのだ。

しばらくの行方を追っていると、沢崎にとんでもない牌がきた。三色が完成して両面ターツが残る最高の引き。ダマでも満貫あるが、「村上さんばりの大きな声で」(実況の松嶋桃プロ)リーチを発声した。

しばらく進んで黒沢がを掴んだ。これは自身が3巡目に切っているうえに前原の河に1枚出ている。前原に通るし自分もいらないとなると、切ってしまいそうだ。比較的通りやすそうな牌にも見える。黒沢の手が止まった。

打たない。打としてのワンチャンスで粘ったのだ。これは地味ながら雷電ファン歓天喜地の一打である。あっぱれ。第1試合で筆者が最も印象に残った一打かもしれない。悩んでいたので切ってしまうと思ったのだが……これが黒沢の強さだろう。

前原の待ちがからに両面変化した。も通ってはいない牌だが当然押していく。

両面待ちに変わった直後だった。沢崎がそのを掴んでしまう。

前原が沢崎の大物手をかわしきり、ついに沢崎を止めることに成功した。もし前原がを掴んでいたら点数状況が大きく変わっていたところで、非常に見応えのある勝負だった。結果的に沢崎はダマならアガっていたかもしれないが、それは野暮というものだろうか。

南4局

ラス親にすべてをかける黒沢。3巡目でパッとしない手格好であり、ツモ次第といったところか。黒沢は副露率が以上に低いことで知られるが、オーラスの親権維持のためにチーやポンをすることはまれによくある。

特技のドラ引きの能力を使って打点を上げていくが、テンパイまではまだ時間がかかる状況だ。

一方で、オーラス満貫ツモ条件でトップ獲得の前原だが、こちらも手が悪かった。こうなると黒沢が連荘できるかどうかに焦点が絞られる。

うーん手が進まない。なかなか有効牌を引けず、沢崎からも鳴ける牌がこない。こうなっては厳しい。

ポツンと浮いたドラのが寂しい。少し心中気味になってしまったので、手放すのも一案だったが、場に1枚も見えていないので重なる可能性も同時にあった。悩ましいところだったか。

前原も最終盤でチンイツのテンパイ(をポンしている)を入れたが間に合わず。

黒沢の手牌は伏せられて終局となった。

黒沢は敗れたものの、南3局3本場での打など見せ場があった。放銃も仕方がないものばかりだったように思う。雷電にとっては厳しい結果となったが、これまでの積み重ねのおかげでそこまで悲壮感がない立ち位置につけているのは大きい。

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