屈辱の四暗刻単騎放銃から1年、内川幸太郎は勝って未来を切り開く【Mリーグ2020観戦記2/25】担当記者:東川亮

ここは近藤が1巡目から自風のポン、さらにをリャンメンチーと、普段の近藤らしからぬ動きを見せる。

滝沢のアガリで3着に後退しているとあり、手をこまねいてはいられない。

加点することで少なくとも滝沢をかわし、2着で少しでもポイントをプラスしようという、終盤戦ならではの仕掛けではないだろうか。

一方の村上も、チーム状況を考えれば着順浮上のために高打点がほしい。

そのため、ドラを切って広いイーシャンテンには取らず、345三色によるハネ満・倍満クラスの打点を逃さないような手組みを見せる。

不穏な気配の二人がいることもあり、内川は親番とは言え、を切っての役なしテンパイは取らない。

次巡にはメンツからも切り、守備の姿勢を明確にした。

終盤、村上はをチー。

門前でいきたいところだったが、テンパイしなければ元も子もない。

を切ればカン待ちでタンヤオ三色ドラ赤、を切れば単騎待ちでタンヤオドラドラ赤、いずれも満貫だ。

村上のチョイスは切り。

しかしは既に山にはなかった。

うまくいかないときはこういうものか。

次巡、ツモでアガリ逃し。

村上の一人テンパイで流局し、試合はオーラスへと進んだ。

オーラス、滝沢の配牌は九種九牌

ただ、親番ではさすがにほとんどテンパイしない国士無双には向かいにくい。

を重ねてメンツ手へ。

役牌やチャンタにドラをからめての高打点も見えなくはない。

しかしさすがに滝沢の手は遠く、先制は近藤。

平和ドラ1の待ちでリーチを打った。

ハネ満ツモで逆転トップだが、現状では他に役が絡まなければ出アガリ3900の1本場で、村上・内川からだと3着のままで試合終了となってしまう。

一方、ツモなら一発と裏ドラで合わせて2翻、内川からの出アガリなら一発か裏ドラが絡めば逆転できる。

どこから出たらどうするか、巡目との兼ね合いなど、見逃しを含めて全てのパターンを想定したはずだ。

オリていられない村上は少考の末にをプッシュ。

内川は当然のオリ。

逆転されたら、それはもう仕方ない。

を鳴いていた滝沢としても、近藤にツモられたらほぼ着順が落ちることは認識している。

ならばと、を立て続けにチー。

必死の粘りで単騎テンパイに持ち込む。

試合は近藤のツモで決着した。

最初のハードルをクリアし、残るハードルを越えるため、裏ドラをめくるが・・・

乗った、しかし1枚では2000-4000は2100-4100のアガリでトップに届かず。

とは言え、この2着はセガサミーフェニックスにとって小さくない価値を持つだろう。

同じ2/25。

しかし内川を取り巻く状況は、1年前とは全く違っていた。

わずか100点持ちのラス目ではなく、メリハリの利いた攻守によって37200点持ちのトップ目で最終局を迎えられたこと。

そしてチームも苛烈なセミファイナル進出争いからほぼ抜け出せており、内川は細かい条件を考えずに上を目指して打てる立場にあった。

それは、自身がここまで249.1ptとエースにふさわしい成績をたたき出し、チームを牽引してきたことによるものだ。

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