麻雀史に刻まれる最強のボスキャラ “渋谷ABEMASの不沈艦” 多井隆晴は何度でも浮かび上がる【Mリーグ2020ファイナル観戦記5/11】担当記者:ゆうせー

この局の結末は、

危険牌の【4マン】を抑えきってテンパイを入れた堀から【3ピン】がこぼれ落ちた。

【白】赤、テンパネして3900のアガリ。多井はギリギリのところで親番をつないだ。

一方、浮上させたくないABEMASの連荘を許してしまった堀。

東3局1本場、その堀の手牌、

5巡目にドラの【8ソウ】をリリース。マンズの一通になるときには【7ピン】【7ピン】【8ピン】【7ピン】が雀頭になる。【6ピン】【9ピン】が埋まったら【1マン】がヘッド。マンズピンズどちらともを活かすためのドラ切りだ。

「ポン」

このドラを勝又がポン。遠いながらもタンヤオドラ3へと進む。

次の手番で堀は、

【4マン】を引き入れて、選択に時間をかける。

出した結論は、

【8ピン】!なんせ【2マン】先埋まりのメンピン一通8000点が魅力的だ。また、緊急回避的に鳴き一通でのアガリルートも存在する。リャンメンリャンメンながらも仕掛けが効かなくなる打【9マン】よりも、打点と手役による手牌価値の上昇を見た一打だ。

さらに次巡、

【赤5ピン】をツモってきて、

堀が選んだのは、

【1マン】

【9マン】【赤5ピン】を切って【1マン】【7ピン】がアンコになった場合には、リーチのみになってしまう。ドラポン相手に安手で戦うルートを断って、一通コースと345の三色含みのメンタンピン赤コースを両方見据えた、手牌価値を重視する堀らしい選択だ。

だが、なかなか堀はテンパイしない。

そして、

10巡目に勝又から【2マン】が出た!下家にいる堀は【2マン】を鳴いたら一通のテンパイだ!

堀は鳴かない!ツモりにいっている!

【2マン】を鳴いたとて、たろうと多井がベタベタにオリてしまった場合、鳴き一通の1000点の手で、このあとずっと「テンパっているかもしれない」勝又と一巡一巡押し引きをするのは嬉しい未来ではない。

ぶつけるのなら勝負にいける打点で、という意図で堀は【2マン】を見送ったのであろう。

次のツモ番で堀は、

【6ピン】を引いて打【1マン】

勝又にもテンパイが入る!【3マン】【4ソウ】のシャンポンだ。

「リーチ」

堀もテンパイ!1000点のテンパイを見送って、メンタンピン赤の手に仕上げた!

「リーチ」

!!??

なんと多井も追いついた!下家にドラポンの勝又がいるにもかかわらず、メンタンピンイーペーコー赤の手を組み切った!

全員が高打点でぶつかり合ったこの局。制したのは、

堀だ!メンタンピンツモ赤裏の3000-6000は3100-6100の大きな大きなツモアガリ!

このキー局で競り負けた多井は、

東4局もドラポンをしている勝負テンパイから、勝又とのめくり合いに敗れリーチピンフ裏の5800を放銃。

“多井でも今日はダメか…”

ABEMASファンも正直厳しいと思っただろう。

だが、ここから多井隆晴全身全霊の追い上げが始まる。

東4局1本場

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