でもそれが自分自身になるというのは予想してなかったのかな?^^
南3局までアガリ無しで圧倒的ラス目だけど大丈夫そ?^^
……お目汚し失礼しました。
観戦記者の立場として、全く、これっぽっちも歌衣がラスになったら面白そうなどとは思っていないが、終盤に入るまで歌衣は厳しい戦いを強いられる。
開幕、鴨神にゅうが1300、2600で前に出ると。
東2局には青森りんこが予選では不発だったリーチをしっかりとツモアガり2000、3900の加点。
東3局2本場には咲乃もこが1000、2000をアガリ、供託も回収。
南2局後がなくなった歌衣が鴨神に対して勝負に出るもあえなく放銃。歌衣は3900の失点。
こうして、南3局1本場という佳境に、歌衣は一人沈みのラス目に。
主催があんな不名誉な称号を冠することになるなんて誰も望んでないはずなので、視聴者もとても嬉しい気持ち……ゲフンゲフン。悔しい気持ちになる。
しかしここから一筋縄で終わらないのが、漢歌衣メイカだった。
歌衣にテンパイが入る。しかしこの入り目ではが出て行ってしまい、役はリーチタンヤオのみ。
待ちもカンと好ましくない。
一度リーチのボタンに手がかかった歌衣だったが、ここはぐっとこらえてを切り出した。
3巡後に、を引き入れてテンパイ。
またも待ちは自身で3枚使っているとのシャンポンと良くはないが、を使えたので妥協。
リーチへと踏み切る。
そこに被せるように容赦なくツモ切りリーチを放ってきたのは現状トップ目に立つ青森りんこだった。
実は青森はもっと前から、ピンフ三色ドラの8000点が確定しているテンパイを入れていた。
「これをメイカさんからアガると、ほぼメイカさんが『雷漢戦で最もザコ』の称号をもらえます♪」
と笑顔でコメント。
この子は可愛い顔でなんてことを言うんだろうか……そんなことをしたら、歌衣のラスがほぼ確実なものになってしまう。
そんなことは絶対にやるべきだ。
……ん?
しかし運命の歯車は奇妙な方向へと回り出す。
この青森からのリーチで困ったのは、現状3着目の咲乃だった。
歌衣の一発とハイテイを消すためにリーチ宣言牌をチーした咲乃だったが、トップ目である青森のリーチは想定外だ。
それはそうだろう。青森はなにもしなければほぼラスになることはなく、オリるのが当然の判断に思える。
青森の殺意(?)が咲乃の想像を遥かに超えていたことが、仇となる。
リーチ後にが通り、がスジの牌になってしまった。導かれるように咲乃のが河へと出てしまう。
3着目の咲乃からの直撃で、順位が入れ替わる。
微差ではあるが、歌衣が3着に。会場から悲鳴(歓声)が上がる。
「こんなリーチすると思わないよねえ?! 最弱は、誰かな~!?」
……だ、だだ大丈夫だ、まだ慌てるような時間じゃない。
勝負は南4局、オーラスへと進む。
歌衣と咲乃の点差は僅か600点。
親である歌衣は、他家のツモアガリでもラスになってしまう可能性がある。親は子がツモアガリをした際に、子の1.5倍の点数を払う必要があるのだ。つまり、歌衣がラスになるルートは咲乃がアガる他にも、鴨神と青森の700、1300以上のツモでもOKだ。
そんな状況を理解しているからこそ、歌衣はこのチーから発進する。
狙いは一気通貫。状況を加味するとこれ以上鴨神から鳴ける牌が出てくるかは怪しいが、このカンは急所だ。
歌衣の経験が、これをチーさせた。配信では煽り散らかしているが、麻雀に対する頭は冷静そのもの。
そしてこれをまたも咲乃から捉える!
5800は大きすぎる加点。これで咲乃は満貫ツモでないと歌衣を捲れなくなってしまった。
これによって歌衣は、無理に勝負せずともラスになる可能性はかなり低くなり、次局にオリれば3位でこの対局を終えることができる。