高宮まり、可憐な右手に握りしめるは紅蓮の大太刀『四暗刻』【 #役満 】【Mリーグ2022-23観戦記3／2】担当記者:東川亮

東1局、園田が早々にダブ東を鳴いた局面、高宮もポンポンで応戦し、を引いてテンパイ。を切ればトイトイの5200とそこそこの打点にできたが、

高宮はさほど迷わずを切り、待ち1000点のテンパイにとった。

場を見ると、のシャンポン待ちはがすでに1枚切られており、枚数そのものがマックスで3枚。一方で待ちは見た目枚数で5枚あるだけでなく、自分以外の全員が早い段階でピンズの上目を切っていて、相当場況が良さそう。自分でもピンズを立て続けに切っており、ピンズへの警戒は薄そうだ。ここはアガリやすさを最大に見た。

チーしてテンパイを入れた園田からが出て、高宮の出アガリ。

打点こそ1000点だが、園田のダブドラドラ・12000の手を蹴れたのは大きい。高宮の、状況をしっかりと見つめた待ち取りが光った。

南2局には、踏み込みの鋭さと粘りを見せる。オタ風のをポンしてホンイツに向かった高宮だったが、すぐに白鳥のリーチを受けた。情報が少ないなかで、魚谷から切られたをポン、手を進める。鳴かなければは安パイ2枚を抱えることになるわけだが、それよりもアガリを目指すことを選んだ格好。

ドラまたぎの2sを引いて迂回するが、それでも切るのは通っていないであり、を切っての完全撤退ではない。アガリには結びつかなかったが、高宮の攻める姿勢を象徴しているように感じたシーンだった。

3人をなで斬った紅蓮の大太刀

南4局、高宮のトップ条件は満貫出アガリ。配牌は暗刻が一つにトイツが3つと、ある程度まとまった形である。

三暗刻の1シャンテンになったところで、をリリース。はマンズのホンイツ模様の白鳥に対してチーもさせたくない牌である一方、自分でも使える余地はある。

残したが重なって1シャンテン。ポンをしてもタンヤオトイトイ、ツモって三暗刻で、ツモか直撃なら逆転条件を満たす。十分だ。

しかし、
「ベルセルク」の携える刃の鋭さは、この程度ではとどまらなかった。

四暗刻テンパイ。ツモはもちろん、供託1000点があるので、タンヤオトイトイ三暗刻・満貫出アガリでも逆転条件はクリアしている。しかし彼女は堂々と、抜き身の刃を掲げ振りかぶった。

リーチで相手の足を止める、あるいは後退させることでツモるチャンスを広げる。ダマテン優位に見えるが、もちろんリーチをかけるロジックもある。何より、ここでリーチをかけて自力で決めに行くのが、なんとも高宮らしいではないか。

意志を持って放たれた初太刀は、

真っ赤な炎を宿し、3者をなで斬り、焼き尽くした。

二の太刀も、返す刀も必要なかった。
紅蓮の大太刀、その名は役満・四暗刻。

赤く染まった対局場の中央で、

彼女は高ぶりを抑えようとしているようにも、余韻を楽しんでいるようにも見えた。

高宮がリーチをかけた瞬間、スゴいものが見られるんじゃないかと思った。予感はすぐに、現実となった。

それにしても、並びシャンポンの四暗刻を一発で、しかも赤で引くかね。
思わず、笑ってしまった。
もちろん彼女も、笑顔だった。
これがあるからMリーグを見るのは楽しいし、やめられない。

歓喜のヒロイン。
彼女はきっとこれからも、麻雀で僕たちをドキドキ、ワクワクさせてくれる。