園田賢の奇妙なグラフが示した
ファイナルの構図
文・東川亮【金曜担当ライター】2024年5月10日
朝日新聞Mリーグ2023-24ファイナル、5月10日の第1試合は、赤坂ドリブンズ・園田賢のトップで終わった。
園田は、序盤に稼いだ持ち点を保ち、最終局は自力で試合を終えた。
・・・そう、「持ち点を保っていた」のである。
試合後に映し出された点数推移は、Mリーグをよくご覧になっている方であれば、ひどく奇妙に見えているはず。東2局1本場のツモられによる失点以降、園田の持ち点は増えも減りもせず、故にグラフは直線を描いていた。
このグラフには、ファイナルという舞台の特異さが表れているような気がした。
第1試合
東家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
北家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
園田のグラフは直線になる前に一度、東2局に大きく跳ね上がっている。
局の中盤で、園田の手は三色とイーペーコーのどちらもが見える1シャンテン。は同じ受けが2つ残った、いわゆる「二度受け」の形なので、まっすぐテンパイを目指すならカンターツを残す選択もあった。
だが、園田は切りを選択。これは、園田の目からが4枚、が3枚見えていて、が二度受けでもかなり期待できることが大きい。
その後、優のドラポンが入るが、狙い通りにを引いて力強くリーチを宣言。高目三色、安目でもイーペーコーで満貫以上が確定という勝負手に仕上げ、
いつものモーションで高目を引き寄せ、リーチツモタンヤオピンフ三色のハネ満から、
とてつもなくうれしい雀頭の裏裏で倍満、8000オールにランクアップ。持ち点を5万点近くまで伸ばし、他3者に対して大きなリードを作った。
さて、こうなってくると他の3人にとっては事情が変わる。現状、ドリブンズは他3チームからかなり話された4位となっており、自チームがトップでないなら、ドリブンズがトップをとるのが一番マシな結果だからだ。無論狙えるならトップは狙うが、現実的にはライバルより上の順位で終わることがミッションとなる。
東3局、優が1巡目からをポン。手牌はドラ赤含みでそこそこまとまっていて、満貫・ハネ満クラスのリーチを目指して1枚目をスルーする打ち手もいるかもしれないが、ここは目下のライバル、風林火山・勝又の親番を終わらせることを優先し、速攻に出る。
この局面に限らず、試合では早い巡目での仕掛けが散見された。もともと積極的にアガリを目指すタイプの4名で、フラットな状況でも鳴いたと思われる場面も多かったが、相手を意識したところも多少はあったと思う。
仕掛けが早ければテンパイする速度も、アガリの発生も早くなる。この試合の全11局においては流局がなかっただけでなく、捨て牌の3段目まで局が進んだことすら2回だけだった。1回は前述した、園田倍満ツモの東2局。
もう1回が、この試合の山場となった南1局である。最初のテンパイは園田、ポンからの待ちで、見た感じはすぐにアガれそう。ただ、山には既に3枚しか残っていなかった。
そこへ、渋川がカン待ちでリーチ。ドラ赤含みで打点は十分。
一方の優は、三色赤赤の1シャンテンからドラを引いてさらに打点アップ。自分の手の価値が高いことから、一発で無スジのを場に放つ。その意味を分からない3者ではない。
それを見た園田は不安げな表情を浮かべつつ、切りリーチに対してをプッシュ。巡目的にも、下手に守ろうとするより好形テンパイを生かしてアガリに向かったほうが守備力高い理論。もちろんどこかでオリも考えていたと思うが・・・
優がテンパイ。リーチをせずともタンヤオ三色ドラ赤赤、ハネ満確定の大物手なので、ここはダマテンとする。ただ、出ていくは渋川に対してさらに無スジ、攻めていることが明らかに分かる。
そこへ、1シャンテンの勝又が4枚目のを引いて暗槓。園田のやる気が激減。
と思ったら新ドラは雀頭ので打点アップ、状況の変化がめまぐるしい。
も少考からプッシュ。
ただ、さすがに元ドラのは打ち切れず、渋川の現物でタンヤオに絡まない新ドラをリリース、テンパイを外す。
そしてオリるとなれば、リーチに対して暗槓をした勝又までを含めた全員を警戒し、丁寧に安全牌を残していく。
この局は、終盤に勝又からもリーチがかかり、