喉から出かかったその言葉は 心の奥に飲み込んで #浅井堂岐 雌伏の時【Mリーグ2024-25観戦記 1/27 第1試合】担当記者 #後藤哲冶

南4局1本場

それでも、堂岐はまだ諦めない。
満貫ツモ条件が残っている。手の内にはダブ【南】があった。
これを暗刻にするか、ドラを引いてきてリーチまで辿り着ければ、逆転の可能性は十分ある。

対面の大介から切られた1枚目の【南】をスルー。
染め手に行けるほどの手牌ではなく、染めないのだとしたら打点が足りない。
なんとももどかしい手牌だ。

【9ソウ】を引いて、イーシャンテンになった。
ドラが【5ピン】で、そのターツは外せない。
【2ピン】のトイツ落としか、【3マン】【4マン】か……。

堂岐の選択は【3マン】【4マン】落としだった。
一番形は良い所だが、やはり必要なのは打点。
なんとか着アップに向けて、細い糸を辿る。

その次巡、大介から出る最後の【南】
が、堂岐は動かない。
ここでダブ【南】ドラ1のテンパイを取るよりも、僅かにあるリーチツモドラ裏の可能性に賭けた。

【南】をスルーした堂岐を嘲笑うかのような赤【赤5ソウ】引き。
これを先に引いていれば……ダブ【南】赤ドラで8000点が見えるため、堂岐も【南】を仕掛けただろう。

次巡。堂岐は赤【赤5ソウ】を切って、テンパイの形を広げた。
もちろん、本当はこの局に満貫をツモりたかったが、それはあまりにも厳しい。
だからこそ、堂岐はテンパイ取りに賭けたのだ。寿人がテンパイで、自分もテンパイならまだ次局満貫ツモが残る。
ここでテンパイを崩してしまえば寿人との点差は3000点広がってしまい……満貫ツモすら残らなくなってしまうから。

そうして最後の手番、堂岐が【6ピン】を引いてなんとかテンパイにこぎつけた。
狙い通り、寿人のテンパイが確定するリーチも入っている。

首の皮1枚、繋がった。
まだ、まだ終わっていない。

南4局2本場

堂岐の手は悪くない。【白】ホンイツ一気通貫や、ドラを重ねるなどのルートもある。

時間を使って考える。
この手から、満貫をツモれるルートを。

【5マン】切りを選んだ。
これならばピンズのホンイツも残しつつ、三色もギリギリまで終える。
打点作りに長けた、構想力の高さ。

ドラが重なった……!
これでホンイツに向かわなくても条件をクリアできる。
打東として、残りのターツを【4ソウ】【6ピン】から作りたい。

手牌が整ってきた大介からドラが放たれた!
堂岐がすかさずポン。
【4ソウ】として、一気通貫か、【白】に役を委ねた。
【5ピン】【1ピン】のチーでもテンパイが取れる。

なんとか、なんとか繋いできた一縷の望み。
絶好調なチームに、自分もなんとか貢献したい。
せめて4着を回避させてくれ。

そんな堂岐の望みは――

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