その選択に麻雀の神が微笑んだか、南4局2本場で元太にチャンスが到来する。暗刻が増えてきた中で、5巡目に両面塔子を崩す。トイトイやチートイツも見た進行に舵を切った。

そのわずか一巡後に引いたのは、ツモり四暗刻テンパイ。出和了りでもタンヤオトイトイ三暗刻で満貫条件をクリア、誰からでも和了れる格好となり、ダマテンとした。堂岐はもちろん、通過ポジションの2人からも出かねない
。天国に羽ばたくのは誰か、翼をもぎ取られるのは誰か。恐怖のロシアンルーレットが始まった。それにしても、今年の最強戦は、よく役満が顔をのぞかせる。

無情にもをつかんだのは、和久津だった。

8000は8600の和了。逆転で元太が滑り込んだ。

最終局面をむかえた土壇場。二人の選手を物語るような力が、ここぞという場面で発揮された。長年の経験に裏付けられた勝負強さ、そして、土壇場での冷静な選択。近藤と元太、それぞれの翼で卓上から舞い上がり、決勝の舞台へと羽ばたいていった。
虫かご
鹿児島県出身、東京都在住の25歳。本業である新聞記者の傍ら、ライター業に励む。noteも不定期で更新中。好きな麻雀プロは堀慎吾選手。行きつけの雀荘は浅草橋・新時代。
X:@mushikagokun
\近代麻雀シリーズ 新刊情報/