今シーズンに懸けた想い 岡田紗佳 皆に桜の花束を【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/6 第1試合】担当記者 後藤哲冶

なかなか岡田にテンパイが入らない。
1枚切れの東はトイトイに怖い牌だが切っていく。
当然だ。この手をアガればトップなのだから。

「テンパイテンパイテンパイテンパイ! 」

日吉実況が4度、岡田のテンパイを伝えた。
それだけ、場は完全に正念場を迎えている。
【2マン】を切って、【2ピン】【5ピン】のテンパイを入れた。
【2ピン】【5ピン】は、山に3枚……!
アガれば、今シーズン初トップ。

表情は冷静に見えても、ツモる動作には確かに力が入っている。
欲しくないはずがないのだ。今シーズンの初トップは。
幸い、勝又の待ち牌【8ピン】【7マン】は山に残っていない。
アガれるか、【2ピン】【5ピン】……!

その、直後。

「ロン」

アガったのは、勝又だった。
たろうが勝負形になってしまった。
トップすら見えるイーシャンテンになって、【7マン】が押し出された。
これで、勝又が再び大きく前に出る。

これで、岡田のトップへの道のりは――

まだ、終わってなどいない。
岡田には跳満ツモで同点トップの条件が残されている。
配牌はとても跳満が見える形ではないが、当然狙って手を育てていく。

7巡目

引き入れた【赤5ピン】
遠くに見えていた跳満の可能性が、現実味を帯びてくる。
狙える。リーチツモタンヤオピンフ赤裏。

【8マン】ツモで三色がくっきりと見えた。
リーチツモタンヤオピンフ三色でもクリアだ。
三色に必要な【4マン】は3枚山に残っている。
次巡には【6ピン】も引き入れて、イーペーコーでの条件クリアの可能性も出てきた。
受け入れは広い。来て欲しいのはとにかく、跳満になる牌……!

ここまで来ても当然喜色は出さない。
極めて冷静に、牌を選んでいく。

先にリーチを打ったのは4着目に落ちていたたろうだった。
【3ソウ】【6ソウ】待ちのリーチは、ツモって裏ドラが1枚乗れば逆転。

これにより、場にリーチ棒が出た。岡田はこれで、跳満ツモは文句ナシの単独トップ。
どうだ――

来たのは、【7マン】
三色やイーペーコーにはならず、【9マン】タンヤオも崩れてしまう。
テンパイになる牌の中では、かなり嬉しくない部類。

それでも、当然リーチだった。
タンヤオがつく【6マン】を一発で引くかもしれない。一発でなくとも、【6マン】を引いて裏ドラが乗ることだってある。
最後の可能性にかけて、岡田が最後の勝負に打って出た。

不満の残るテンパイだが、【6マン】は、2枚山に残っていた。
【6マン】一発なら……単独トップ……!

岡田が山に手を伸ばす。
ここでアガれたとて、『たかが1勝』もしかしたらそう思う人もいるかもしれない。

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