選手、実況、解説─
皆が作り上げた三浦智博の初トップ
文・虫かご【金曜担当ライター】2025年10月31日
Mリーグの実況・解説
日本最高峰の麻雀プロリーグ、Mリーグ。
この「日本最高峰」は、連日激闘を繰り広げる選手だけにとどまらない。実況・解説、審判、AR(拡張現実)などの放送技術、スタッフさんなど、選手の対局を陰で支える数多くのプロが集結して、放送・運営が成り立っている。
中でも実況は、ほかのプロスポーツと比べて際だった特徴がある。
私が初めて麻雀の放送対局を観戦した日のこと。サクラナイツが優勝した21-22シーズンのファイナル最終日だった記憶があるが、実況は日吉辰哉さんだった。
「やたら叫ぶなぁ」という感想と同時に、麻雀初心者にとっては耳慣れない専門用語が次から次へと出てくることに驚いた。気になって調べてみると、試合を実況で支える彼らもまた「麻雀プロ」であることを知った。初心者にとって最初のハードルとも言える、複雑なルール。それをわかりやすくかみ砕き、伝える立場として、プロが実況を務めていたのだ。
今年から2卓同時開催が始まり、襟川麻衣子プロ、古橋崇志プロなど、実況のバリエーションも増したMリーグ。「日吉・土田」コンビに続き、新たな実況・解説のホットラインが生まれそうだ。
そしてこの日の放送席には、このお二人。
出場選手はこの4人。
第1試合
東家:三浦智博(EARTH JETS)
南家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
北家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
今日も心ゆくまでMリーグを楽しめそうだ。
際立つ土田さんの解説
この対局で、選手に勝る存在感を見せたのは、解説席の土田さんだった。
東2局。親番を迎えた岡田の手を見て、
「こういう手は
をポンせずにチートイにいったほうがいい」と一言。この時点でもトイツは2組。成就するだろうか…と思っていた矢先、一打目に切った
が来てしまう。
「ほらほらほら」と土田さん。さらにこの後も、
ツモ、
そして上家の三浦から
を鳴いたことで、ドラの
が食い下がり。仮にここに土田さんが座っていれば、5トイツできていたことになる。
最終的には醍醐が白鳥から8000を直撃したが、土田さんが持つチートイツへの嗅覚は、やはりすさまじいものがある。
かと思えば、続く東3局。
のトイツ落としを終えて、なおも手牌にトイツが4組できた醍醐。まだチートイツへの可能性も残されるか…と思った矢先、
「これね、チートイツに行かないほうがいい典型的な手牌ですね」と土田さんが断言した。![]()
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、![]()
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、さらには孤立牌の
も含め横に伸びやすい形となっていることが理由だ。
その言葉に呼応するかのように、
ツモ。打
とした醍醐を見て、「リャンペーコーとか狙ってるのかな?」と顔をほころばせながら漏らした。「例えば
なんか引いたら、![]()
を払った方が面白い」と続ける。
これを聞いてすかさず「カンチャン2つになっちゃいますよ…」と我々の意見を代弁してくれる小林さん。
「ミサちゃん、」と土田さん。「カンチャンがどうしたって話ですよ。両面と似たようなもんなんだから」と間髪入れずに返した。土田さん曰く、どうせ一牌しかひかないのだから、両面でもカンチャンでも一緒、なのだとか。
これにはさすがの小林さんも困っていたところ、本当に
を持ってきた醍醐。
打
としたが、その次巡。醍醐がひいたのは
だった。土田の薦める通り、![]()
を落としていたらリャンペーコーのテンパイになっていたことになる。これには実況の小林さん含め、誰もが驚きの声を上げたことだろう。
最終的に、この局は白鳥が2000-4000の和了をモノした。
慌てず、騒がず、ゆったりと
この試合、その確かな技術と経験から、選手心理や展開をズバズバ言い当てていた土田さんが、全幅の信頼を置いて見守っていた選手がいる。
東1局の親番で2000オールをアガり、微差ながらトップ争いに加わり続けていた三浦。
接戦で難しい立ち回りが続く中、東4局では自風の
を鳴かずに進行し、
親番を迎えた南1局では、ドラの
をひいた場面でカンチャンターツに手をかけるなど、急ぎたくなる局面で、慌てず、騒がず、ゆったりと構えているように見えた。
土田さんも「麻雀能力高いので、どっしり構えていたらトップ取れる。何の問題もない」と称賛の言葉を贈った。
するとここから、局面が三浦を中心に動き始める。
南2局。カン
待ちでリーチをかけた三浦。















