一気通貫、百花繚乱! 自画自賛する仲林圭【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/2 第2試合】担当記者 カイエ

北家の東城。チートイツのイーシャンテンから【3ピン】を持ってくる。

【3ピン】は1枚切られているとはいえ、その逢川は持ってなさそう。伊達もペン【3ピン】受けターツを払っている。仲林は分からないが、場況は悪くなさそうだ。狙いを定め、ここはドラそばの【8マン】を切る。

次巡、絶好のドラ【7マン】を重ね、迷わず【3ピン】待ちリーチ!
自身の捨て牌はチートイツに見えづらく、伊達と同じくペン【3ピン】を払っているようにも見え、【6ピン】
落ちている。元より【8ソウ】には感触がなく、狙い通りだと局後に振り返った。

松嶋桃「君に決めたー!」

しかし、すぐに最後の1枚が逢川に流れ、

一発は【8ソウ】の方!

さらに【中】までもが連続して河に2枚並べられる。げにチートイは難しき哉。

こちらは形式テンパイを目指す、仲林のプロの思考。

仲林「自分で勝手に喋るの、あれなんですけど。けっこう自分の中で良いなと思っていて」

ここから【4ピン】をチーして、ノーチャンス(【4ピン】【6ピン】が4枚見え)の打【5ピン】。これでハイテイを東城から自分に回す。危険牌を引く可能性を排除する「ツモ番キャンセル」も出来て、さらに次巡、オートツモ切りの上家の東城からのチーも期待できる。ハイテイのツモでテンパイする可能性もある。さらに手に残る【4ピン】は現物。一石数鳥。

仲林「あれがチーできたのが、自分の中ですごい良い一手だったなと」
仲林「結果、何も起こらなかったんですけど」

非常に繊細でマニアックな技術だが、こうした発想が瞬時に浮かぶかどうかでプロとしての生涯成績も評判も大きく違ってくるのかもしれない。
仲林の麻雀IQの高さを改めて知れた妙手だった。

結局、この局は流局。

さて、今回は構成上、敢えて通時的にでなく、一気通貫と局後のインタビューとを軸に、テーマ別にお届けしてきた。

だから、南入時点でのこの点棒状況が、

南2局にはこうなり、

オーラスを迎えるころにはこのように変化して、

ぐちゃぐちゃっと複雑にグラフが入り乱れた結果、

最終的にこのようなスタッツに終わったことは、実際に全局観戦した人でなければ、目を疑う光景かもしれない。

「勝ったな、風呂入ってくるか」というコメントは一級フラグとして夙に知られているが、どのタイミングで離席するかにより「今北、なんでじゃががトップなの?」とか「リオパラが地上に復帰してるやんけ!」とか、驚きは個々人により自ずから違ってくる。こうしたジェットコースターのような展開もまた、麻雀の魅力のひとつである。そう。麻雀に絶対はない。

そして、こんなに面白い麻雀というコンテンツを、大勢のファンと一緒に観戦する体験は、何物にも代えがたいプライスレスな価値を提供してくれるはずだ。

観戦記の役割のひとつとして、放送対局をダイジェスト的に知る「時短」の側面もあるに違いないが、多くの「言い落とし」を補完するためにも、特に今局のような熱戦は、ぜひとも実際の映像やライブでも味わっていただきたい。

一気通貫ツアーin今治」の日に、一気通貫を唯一人アガれなかった伊達朱里紗がラスだったのは、むろん偶然だ。今日は、精神的な調子がいつもより優れなかったのかもしれない。連対はストップし、ラス回避率レースにおいても渋川難波の後塵を拝したが、まだまだ先は長い。持ち味である手組みの良さと安定感が戻れば、あっという間に各種タイトル争いに参戦してくることだろう。その時、チームは大目標である悲願の初優勝に肉薄しているはずだ。

日曜日の、大阪は八尾でのイベントで、ファンに手作りのリボンシュシュをプレゼントされたという東城りお。「気持ちはトップくらい嬉しい」とハコ下からのラス回避を喜んだ。
関西であってもMリーガーに会える機会は決して多くはないが、推しへの真心こもったプレゼントを対局で着用してくれる感動は、一生忘れられないものに違いない。おかぴもそうだが、こうしたファンサも、東城が人気のある理由のひとつだろう。

その、大阪出身の逢川恵夢。またしても惜しい2着に終わったが、わずか100点差での連対死守は大きい。いずれMリーグが近畿でも開催される日がくれば、むーこは絶大な人気を誇ることだろう。先月には新しい二つ名となるキャッチフレーズも募集し、近日発表される。どやさ、どやさ!?

 

南4局3本場

粘る親の東城の連荘を振り切り、最後は世にも美しいジュンチャン三色を安目のピンフのみ1000点で決めた。これもまた美しい結末。
東場は8000点を割る持ち点も、南場の親でフリテン【3ピン】【6ピン】【9ピン】を力強くアガると、前述の確定一通で2局連続の4000オールを決め、急浮上。南3局1本場には技ありのドラドラ赤の七対子をアガるなど、終わってみればパイレーツのマイナスを2桁にまで戻す大仕事。

仲林圭が個人最下位に沈む順位表は、麻雀の理不尽さや恐ろしさの象徴である。

そう評されるほどの下振れ期から、完全に脱却する今期3勝目。ここまでチームを牽引してきた鈴木優の負の流れを、今度は雀王がリカバーする頃合いだ。

愛媛組の皆さまも、お疲れ様でした!

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