ゼウスも迷う
鈴木たろうのリーチ判断
文・喜多剛士【木曜担当ライター】2026年10月29日
第1試合
東家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
南家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
西家:阿久津翔太(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
実況:山本亜衣 解説:村上淳
東3局
親の阿久津が放った
をたろうがポンして打
。まだ3シャンテンながら、チャンタとドラを軸に満貫まで見据えた進行だ。
さらに
も鳴いて2副露。アガリまでは遠いものの、打点をしっかりと意識したたろうらしい仕掛けである。たろうは遠いところからでも仕掛けも多く、同卓者からすれば「どこまで本気で速いのか」が非常に見えづらい。
そしてカン
をチーしてあっという間の3副露。場に強い圧力をかけていく。
たろうの場合、3副露してのリャンシャンテンのケースもあるだけに周りは押し引きが難しい。
先制テンパイを入れたのは松本だった。
・
のくっつきから三色の目を残す
を引き入れてリーチ。高目の
は山に4枚残る好形だ。これで苦しくなったのはたろう。「勘弁してくれ」の声が聞こえる。
そんな中、リーチ者の松本からドラの
が放たれる。たろうはこれをチーして裸単騎のテンパイを取った。
守備力が無く同じ放銃リスクを負うならテンパイして勝負した方がいいという判断だった。ドラを鳴けたことで打点も当初想定していた最大まで引き上がった。
さらに
を引いたところで、たろうの手が止まる。スジは多く通っており、残りの無筋の危険度が高まっている局面で2枚とも無筋。打点面を考えると
待ちは魅力的だ。
それでもたろうは考えた。3pが早い巡目に切られていることから、
を所持していない可能性が高く、松本の待ちになっているケースや手牌にないケースがあると読んで待ちを
へと変更する。結果、
は山に3枚残っていた。
その
が他家に流れて残った1枚をたろうがツモ。
・
・ドラの1300-2600。
アグレッシブな仕掛けで周囲を揺さぶったものの、松本のリーチが早く、たろうにとっては決して楽な展開ではなかった。それでも最終的には待ち選択が実を結び、見事なツモアガリとなった。
松本は渾身のリーチが実らず。好形リーチを打ちながら、最後は裸単騎の相手に競り負ける結果となった。その悔しさは、卓上で見せた表情が何より物語っていた。
南1局1本場
阿久津が朝倉から5200をアガって迎えた南場。流局を挟んで南1局1本場、親はたろう。
親番のたろうがテンパイを入れる。待ちは![]()
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の変則三面待ち。
が場に1枚見えているとはいえ、リーチしてツモれば4000オール。誰もが即リーチと思ったが、「ゼウスの選択」はダマテンだった。
を引けばドラ受けのある三面待ちへ変化するが安目の
も受け入れる形になる。
なら高目一盃口となるがリーチを打っても跳満になるかは裏ドラ次第。あるいは
を引いてツモり三暗刻まで見据えていたのだろうか。
様々な情報を踏まえてのダマテン選択だったのだろう。ただ、タンヤオ・ドラ1は打点効率を考えればリーチ優位とされる場面でもある。ゼウスが下したこの判断が、どのような結末を迎えるのか目が離せなかった。
2巡後のたろうはリーチを宣言した。即リーチではなく、ツモ切りリーチ。同卓者からすれば「なぜツモ切りリーチなのか」と考えさせられる一打だ。
ツモ切りリーチを打つまでの間にアガリ牌をツモってしまう可能性もあるため期待値だけを考えれば即リーチが有利とされている。しかし、ツモ切りリーチには独特のノイズが生まれる。相手に余計な情報や読みを与え、判断を鈍らせる効果も期待できる。
たろうが
をツモ。
リーチ・ツモ・タンヤオ・赤の4000オールの1本場で4100オールのアガリとなった。
試合後のインタビューで、たろうはこの局面について率直に語っている。
「リーチしてツモれば満貫なのでリーチするべきだった」
が1枚見えていたことが気になり、リーチ判断を迷ってしまったという。
トッププロでありながら、判断ミスだったと認め、自ら「リーチ判断は苦手」と口にするたろう。卓上では“ゼウス”と呼ばれる絶対的な存在だが、得意なこともあれば苦手なこともある。そのことを隠さず、どこか照れくさそうに語る姿が印象的だった。圧倒的な強さと人間味。その両方を感じさせるインタビューだった。
南2局1本場
たろうが2着目を引き離し2勝目を意識し始めたころに、松本がリーチ・ツモ・ピンフ・三色・赤2の3000-6000で2着争いに加わる
南3局











