敢然と魔王に挑んだ
ニューカマー
デビュー戦で
手応えをつかんだ
東城りお
文・東川亮【月曜・木曜担当ライター】2020年10月11日
大和証券Mリーグ2021は各チーム4戦を消化。今シーズンから参戦したニューカマーも続々とデビューを果たし、TEAM雷電の本田朋広、EX風林火山の松ヶ瀬隆弥が初トップを獲得している。
10月11日の第1試合には、セガサミーフェニックスに加入した東城りおが初出場。初週をマイナススタートとなったチームのため、そして何より自分のために、ここは結果を出したい。
第1回戦
東家:東城りお(セガサミーフェニックス)
西家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘俱楽部)
東1局、先制リーチは親の東城。打点はないがシャンポン受けが埋まっての![]()
待ちは感触良し、本人的にもMリーグ初アガリが期待十分といったところだろう。

だが、寿人がそこに対して1シャンテンから平然とドラ
を押す。スジであり、![]()
が自身から3枚見えで比較的通りそうには見えるが、放銃したときの被害は決して小さくはない。これをノータイムで切れるのは、さすが佐々木寿人、といったところ。
東城の待ちも山に残っていたが、ここは寿人が
を仕掛けてツモアガリ。もちろん東城も寿人の麻雀は認識しているはずだが、改めてMリーグの卓についたことを感じた1局になったかもしれない。
ここから、開幕戦をアガリなしの4着で終えていた寿人が、たまっていた鬱憤を晴らすかのように暴れ始める。

東2局、ドラ暗刻の手をきっちり仕上げて松本から8000を出アガリ。

東3局での親番ではなんとダブルリーチ、これはアガれなかったが、一人テンパイで連荘した次局にはリーチタンヤオを本田からアガると、裏3で12000は12300。寿人が一気に他3者を置き去りにしていく。

東3局2本場、東城がピンフのみのヤミテンを本田からロン、1000は1600でMリーグ初アガリを決める。リャンメンテンパイでリーチもあったとは思うが、自身にドラも赤もなく、親の寿人がオタ風の
を1巡目に2鳴きするというやや不穏な局面だったことから、リーチで無防備になるよりもより安全に局を流す、寿人の親番を蹴ることを重視したと思われる。

そんな東城が、東4局では一転して攻めの姿勢を見せる。親の本田、続いて寿人のリーチが入っている場面で、![]()
のシャンポン待ちでさらに追っかけリーチをかぶせた。決して待ちがいいわけではないがドラドラで打点のリターンが大きい、ここで勝てれば十分トップも目指せるという判断か。だが、残念ながらこの待ちは山にはなかった。

3軒リーチのぶつかり合いに勝ったのは寿人、リーチツモ赤赤裏で2000-4000。4番手の親のリーチに対して赤赤とはいえ躊躇なくカン
待ちリーチをかけられるところに、この男の強さが感じられる。

東城の親番が落ちた南2局、少なくとも2着は確保したいところに、5巡目にしてリャンメン3メンチャン、赤ドラの1シャンテンという手が入る。

道中で2枚切れの
を切ってまで
を残していたことで、
を使ってさらに形のいい1シャンテンに。

それでもなかなかテンパイが入らず、思わず厳しい表情になるが・・・

ようやくたどり着いた![]()
待ちリーチで高目のドラ
を一発ツモ。3000-6000で一気に点数を回復した。

さらに南3局はドラ暗刻のリーチをツモアガリ。裏ドラが1枚乗ればハネ満、寿人との点差が1万点を切り、まさかの大逆転トップも見えてくる。

しかしここは乗らず満貫止まり。2着はほぼ確保したが、寿人とはハネ満ツモでも変わらない点差が残った。

南4局、今シーズンは「10万点分リーチを打つ」と公言している寿人が、役なしカン
待ちで即リーチを打った。これによって東城にハネ満ツモ条件ができただけでなく、東城が寿人から満貫を直撃し、トップになるチャンスも得たことになる。非常にリスキーなリーチだが、これが寿人の勝ち方なのだろう。見ていて爽快でカッコいいものの、生半可にまねをすると大ケガをする可能性があるので要注意だ。

東城の手はチートイツのイーシャンテン、役牌が2種類トイツで、トイトイでの満貫もある。そこに引いた、孤立の
。

もちろん、東城は条件を理解している。じっと卓上を見渡し、考えを巡らす。

この日一番の長考。「ミス・パーフェクト」、悩める顔もまた美しい。
一方、「魔王」は平然とツモ番を待つ。やることをやった男の顔だ。

押していく東城。着順落ちのリスクがほぼないため、攻める理由はあっても退く理由はあまりない。
だが、最後は浮いていた
が押し出され、寿人に放銃。寿人が今シーズン初トップ、東城のデビュー戦は2着に終わった。
東城は、試合後のインタビューでは悔しさを見せつつも、自身の麻雀にはある程度手応えがあった模様。リーチ回数は最多の5回、戦う姿勢を初戦からしっかり見せられただけに、次は強気の押しがアガリにつながるところを見たい。
そして勝った寿人は「去年のMVPは伊達じゃない、伊達じゃなくて佐々木だぞ」と、チームメートを意識したジョークも飛び出すなど口も滑らか、最後までらしさ全開だった。














