マエストロは強引な手筋も併せ持つ 内川幸太郎が試合を制した遠い仕掛け【Mリーグ2020観戦記1/4】担当記者:東川亮

マエストロは

強引な手筋も併せ持つ 

内川幸太郎が試合を制した

遠い仕掛け

文・東川亮【月曜担当ライター】2021年1月4日

トップクラスの雀士の中には、確固たる型を持っている選手も少なくはない。

大和証券Mリーグを見ても、佐々木寿人KONAMI麻雀格闘倶楽部黒沢咲TEAM雷電小林剛U-NEXT Pirates)といった打ち手については、どんな麻雀を打つのかイメージしやすいという方も多いのではないだろうか。

ただ、そうした選手たちは一つのことしかできないわけではない。

あらゆる戦術・戦法を一通りマスターした上で勝つための最善を尽くした結果、そのような色が表れてくる、ということに過ぎない。

つまり、必要とあらば普段と違う戦い方をすることも可能なのだ。

第1回戦

東家:白鳥翔渋谷ABEMAS

南家:内川幸太郎KADOKAWAサクラナイツ

西家:高宮まりKONAMI麻雀格闘倶楽部

北家:園田賢赤坂ドリブンズ 

東1局

園田がと仕掛けていく中で、内川はドラを打ち抜いた。

ロンはもちろん鳴かれてもリスクだが、のトイツ落としが見えたことから「ホンイツが本命で、ドラドラはなさそう」という読みが働いていたという。

もちろん、自身の手がタンヤオ形でリーチが打てそう、ということもある。

そしてたどり着いた待ちリーチは仕掛けていた白鳥とかぶっていたが、引き勝って1000-2000。

次局も高宮からリーチ平和の2900をアガり、着々と加点していく。

しかし、そこに高宮が待ったをかけた。

東3局の親番、役なしのテンパイで迷わずリーチをかけ、ツモって1000オール。

次局も4巡目でカン待ちの先制テンパイとなるが・・・

これは取らず、一気通貫や三色など、高打点への変化を狙う。

を重ねてカン待ちテンパイ、ここはヤミテンで確実に仕留めにいき、すぐに園田から出アガリ。

7700は8000の加点で内川を逆転した。

次局は内川が丁寧な手順を見せる。

いったんカン待ちのテンパイを取るが、を引き入れて当然かのようにイーシャンテン戻し。

こうしておけばタンヤオや平和などの手役が絡められ、ドラ受けもできる。

そこからを重ねてリーチをかけ、きっちりツモって2000-4000は2200-4200。

再びトップ目に立った。

高宮も黙ってはいない。

東4局では内川から6400を直撃して再逆転。

この試合は、内川・高宮による真っ向勝負の様相を呈してきた。

そして勝者が「決まり手になったのではないか」と語ったアガリが生まれたのが、南2局1本場

内川がをポン。

しかし手の中にはメンツが一つもない、いわゆる「遠い」仕掛けだ。

アガリを見るにはに頼る感じかと思いきや、内川は「どうやって高くするか」を模索していたという。

を重ねたところからをポン。

副露だけを見ればタンヤオホンイツトイトイなどの手役がイメージできる。

ちなみにならどうしたかを聞いたところ、「ならもっと鳴く」。

高宮が仕掛け返してきているということもあり、全速力でアガリに向かったということだ。

 

思い切ったアクションに、ツモも呼応した。

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