マエストロは
強引な手筋も併せ持つ
内川幸太郎が試合を制した
遠い仕掛け
文・東川亮【月曜担当ライター】2021年1月4日
トップクラスの雀士の中には、確固たる型を持っている選手も少なくはない。
大和証券Mリーグを見ても、佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)黒沢咲(TEAM雷電)小林剛(U-NEXT Pirates)といった打ち手については、どんな麻雀を打つのかイメージしやすいという方も多いのではないだろうか。
ただ、そうした選手たちは一つのことしかできないわけではない。
あらゆる戦術・戦法を一通りマスターした上で勝つための最善を尽くした結果、そのような色が表れてくる、ということに過ぎない。
つまり、必要とあらば普段と違う戦い方をすることも可能なのだ。
第1回戦
南家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
東1局。
園田がと仕掛けていく中で、内川はドラを打ち抜いた。
ロンはもちろん鳴かれてもリスクだが、のトイツ落としが見えたことから「ホンイツが本命で、ドラドラはなさそう」という読みが働いていたという。
もちろん、自身の手がタンヤオ形でリーチが打てそう、ということもある。
そしてたどり着いた待ちリーチは仕掛けていた白鳥とかぶっていたが、引き勝って1000-2000。
次局も高宮からリーチ平和の2900をアガり、着々と加点していく。
しかし、そこに高宮が待ったをかけた。
東3局の親番、役なしのテンパイで迷わずリーチをかけ、ツモって1000オール。
次局も4巡目でカン待ちの先制テンパイとなるが・・・
これは取らず、一気通貫や三色など、高打点への変化を狙う。
を重ねてカン待ちテンパイ、ここはヤミテンで確実に仕留めにいき、すぐに園田から出アガリ。
7700は8000の加点で内川を逆転した。
次局は内川が丁寧な手順を見せる。
いったんカン待ちのテンパイを取るが、を引き入れて当然かのようにイーシャンテン戻し。
こうしておけばタンヤオや平和などの手役が絡められ、ドラ受けもできる。
そこからを重ねてリーチをかけ、きっちりツモって2000-4000は2200-4200。
再びトップ目に立った。
高宮も黙ってはいない。
東4局では内川から6400を直撃して再逆転。
この試合は、内川・高宮による真っ向勝負の様相を呈してきた。
そして勝者が「決まり手になったのではないか」と語ったアガリが生まれたのが、南2局1本場。
内川がをポン。
しかし手の中にはメンツが一つもない、いわゆる「遠い」仕掛けだ。
アガリを見るにはに頼る感じかと思いきや、内川は「どうやって高くするか」を模索していたという。
を重ねたところからをポン。
副露だけを見ればタンヤオ・ホンイツ・トイトイなどの手役がイメージできる。
ちなみにならどうしたかを聞いたところ、「ならもっと鳴く」。
高宮が仕掛け返してきているということもあり、全速力でアガリに向かったということだ。
思い切ったアクションに、ツモも呼応した。