最小限のチャンスを
逃さない感性と
卓越したゲームメイク
堀慎吾しか取れないトップ
文・山﨑和也【月曜担当ライター】2021年4月12日
いよいよMリーグセミファイナルシリーズが開幕した。待ちに待ったといっても過言ではないほど期間が空いたように思う。相変わらず新型コロナウィルスの脅威は収まらず、Mリーグの選手・解説者も感染されてしまったと知って無事を祈るばかりである。
このご時世の中で無事に開催できたことを大いに喜びつつ、この場を借りて関係者各位にお礼を申し上げたい。平日の夜にワクワクできる日々が戻ってきましたよ皆さん。
セミファイナルシリーズ初戦を終えてのチームスコアはこちら。麻雀格闘倶楽部は苦しい立ち位置だが、残り15戦もあれば勝負はどうなるかわからない。まずはファイナルシリーズ進出を狙いたい。
本日の解説陣にはセガサミーフェニックスの魚谷侑未プロと近藤誠一プロのふたりが登場。レギュラーシーズンで敗退してしまった選手たちの明るい姿が見られるのは嬉しい。実況は日吉辰哉プロ。パワフルな実況でおなじみだ。
第2回戦
西家 堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
北家 藤崎智(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
2戦目を戦う選手たち。注目は藤崎か。1戦目でラスになってしまった佐々木プロの借りを返せるかどうか。普段はバランサーのイメージがある藤崎だが、積極的な姿も見られるかもしれない。
東1局。
各々がテンパイに向かって手作りする中で、目を引いたのが白鳥だった。ドラのを引いたところだが何を切るか。
白鳥の選択は手の内からの切り。もったいなく見えるが、打とするとアガりにくくなってしまうし、やを引けばメンタンピンの形にまとまる。この段階で切るのは最終形の待ちを強くする意図もあるだろうか。
滝沢から出たをチー。打で待ちのテンパイに取った。リーチしたくなるところをあっさり見切って2000点の手にまとめる。某選手なら小首を傾げそうな行為だが、これで十分と見た。確かにアガりにくい満貫級を目指すよりもアガりやすい2000点を目指すほうがよさそうだ。
あっさりツモって500-1000でフィニッシュ。滝沢の親を落として次局へ。
東2局。
堀の手は配牌から萬子が多かったが、思ったほど伸びず上図の手格好。打としての二度受けを嫌いつつ、大きくチンイツまで見ていく。
親の白鳥は対子の多いイーシャンテン。
藤崎もドラが2枚あるイーシャンテン。
滝沢もイーシャンテンでまとまっていた。全員イーシャンテン。いかにもぶつかりそうな状況に。
先制リーチを打ったのは滝沢だった。絶好のを引くことができて待ちのテンパイ。
リーチを受けて立ち止まったのは藤崎。は通っていない牌だ。ただ、捨て牌にと切られ、もあってなんとなく索子は通りそう。筆者なら切っていそうだが。
堅し。この男、堅し。のワンチャンスで打とした。
余談だが、麻雀最強戦の観戦の影響からか、実況の日吉プロが言いそうなことを脳内で浮かべるようになってしまった。日吉実況中毒にかかった方、ほかにいませんか。
対照的に攻めの姿勢だったのは白鳥。中筋のをプッシュ。自身の手がチートイツ赤のテンパイになっていたのが大きな要因だろう。待ちは九で、リーチはかけじ。
これに反応したのが堀。場に1枚切れのを持ってきた。自身の手は滝沢の現物である待ちのテンパイ。ピンフなのでダマでもいい。ノータイムで切りそうなところを掘は時間を使った。
結局切ることになったのだが、おそらく白鳥のテンパイを読んだのではないだろうか。河の濃さからチートイツが有力。となるとこのは狙い目だ。こういう細かいところで考えているのを見ると、思わず「おお」となる。
白鳥はも押す。ツモれば3200オールで抜け出せるので、ここは譲れない。もう周りもはっきりテンパイだと感じ取ったはずだ。
静かに潜んでいた堀もテンパイを取りきった。
そして3人テンパイで流局となった。藤崎にとっては少し痛い結果に。
東2局2本場。ここが序盤の山場だった。