高打点飛び交う乱戦
四暗刻はならずとも、
内川幸太郎は
手順と押し引きで勝つ
文・東川亮【月曜・木曜担当ライター】2021年12月27日
こちらは、12月27日の大和証券Mリーグ・第1試合の点数推移グラフである。この試合は、点数も順位も派手に動いた。何しろ全13局中、1度の流局を除いた全てのアガリが3翻以上という中打点・高打点の応酬となったのだ。
こちらは第2試合のグラフ。比較すると、乱戦具合が一目瞭然である。第1試合で何が起こったのか、追っていきたい。
第1試合
東家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
南家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:瀬戸熊直樹(TEAM雷電)
北家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
東2局。内川はこの形から暗刻になったをツモ切った。残してを切れば、とテンパイできる牌が6種類に増えるが、役なしテンパイになる可能性もかなり高まる。現状、テンパイ時は愚形待ちになるのが確定。それならば打点を伴わせて手の価値を高めよう、ということだ。
ズバッとを引き入れてペン3m待ちリーチ。こうなると、ツモ切ったが迷彩として生きてくる。おそらく、この最終形も考えてのツモ切りだったはずだ。
を瀬戸熊から捉え、リーチ三色の5200。ツモアガリで削られた失点の回復に成功する。
東3局1本場、ここは白鳥の手がいい。1巡目ですでに2メンツ完成、ドラがトイツでかなりまとまりそう、打点も高くなりそうだ。
一方の内川、決していい手とは言えない。
しかし10巡目、内川の手はとんでもないことになっていた。四暗刻1シャンテン。配牌が悪くても、そこからツモ次第で一気に手が変わるのも、麻雀の面白いところだ。
それでも、先制テンパイは白鳥。ややもたついたが、先制のリャンメン待ちリーチドラ1、高目ならイーペーコーもつく。
遅れて内川もテンパイ。ペン受けも残していたが、引いたのは3枚目の。
四暗刻だ。
はないが、は山に2枚。内川はこれをダマテンとする。白鳥が河にと並べていてが通りそうに見えることから、ここはアガリそのものの可能性も高める選択をした。
もちろん、最高の結果はツモること。内川と四暗刻は、ある意味でMリーグでは切っても切り離せない関係である。ついに訪れた払拭のチャンスだったが、
白鳥の最後のアガリ牌が、山に2枚残った内川のよりも先にいた。リーチツモイーペーコードラで2000-4000は2100-4100、これで白鳥がトップ目に浮上する。
東4局、瀬戸熊がをカンチャンでチーしてペン待ちテンパイ。普通の鳴きに見えるが、安い仕掛けをあまりしない瀬戸熊がこの巡目から鳴いた以上、他者からはそこそこ打点がある1シャンテン、あるいはテンパイでもおかしくないと見えていそう。実際に、ドラドラと、打点はそこそこ。しかし、驚いたのはこの後だ。
直後、内川から打たれたを大明カンしたのだ。大明カン自体が珍しいのに、それを瀬戸熊がしたというのはちょっと記憶にない。本人いわく、「打点アップとペン待ちを出やすくしたかった」とのこと。瀬戸熊はソーズを切っておらず、ソーズの一色から打点アップを狙ったと見せることでソーズを警戒させて裏をかくという作戦だったようだ。
さすがに異常事態、白鳥は早々にオリにまわる。
滝沢は前巡の引きでメンツを崩しており、も止まった。
だが、そこにぶつけていったのが親の内川。と鳴いて、さらにをポン。ここからを切って待ちテンパイになるが、ピンズは直前まで切っておらず、他者からはピンズのホンイツに見えなくもない。そうなれば12000、18000も覚悟だ。
次巡、白鳥の手が止まる。
早々に守備に回っていたのに、打てる牌がなくなってしまったのだ。
瀬戸熊にはソーズが全く通っておらず、内川にはピンズが怖い。で当たるなら赤が絡んでいそうな上にのシャンポン待ちや単騎待ちも否定はできず。切られたのスジも生牌で、当たるケースはいろいろある。それでも、打つ牌をひねり出さなければならない。
白鳥の決断は、両者の色と被っていない。
内川への12000放銃は、まさに激痛。
次局、白鳥はわずか4巡で、チートイツドラドラ赤からハネ満確定のリーチ。かかの待ち選択で、白鳥は「自分しか役にならない風牌なのに、誰も切っていないから山にいる」という読みから、を切って待ちとした。