ギアを上げた多井隆晴を
待ち受ける苦難
2021シーズンファイナルは
佳境へと突入する
文・江嵜晋之介【火曜担当ライター】2022年4月19日
Mリーグ2021ファイナル2日目。
昨日始まったばかりのファイナルだが、19日第2試合で既に3分の1が経過する。
例年の同時期と比較してポイント差が小さいため、まだどのチームにも優勝する可能性は十分に残されているが、終盤に困難な条件を課せられないためにも今のうちにポイント差を詰めておきたい所。
光り輝くシャーレは、どのチームに微笑むのか。
第2回戦
東家:東城りお(セガサミーフェニックス)
南家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
北家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
東1局1本場
流局からの1本場、テンパイを入れたのは多井。
ドラ1のカン待ち。ドラ表示牌待ちだがマンズの場況が非常に良く、待ちでも勝負できそうだ。
しかしここは手堅くダマテンを選択。好形への手替わりを待ちつつ、トータルトップであるセガサミーの親番を軽く流す算段だ。
その直後、親番の東城からリーチ平和ドラ赤3の跳満確定リーチが飛んでくる。
ダマテンでも親の満貫が確定しているため選択が分かれそうな局面だが、東城はノータイムでリーチ。気風の良い選択を見せる。
同巡、多井が引いたのは当たり牌の。
切れば親の倍満まで見えてしまう放銃となるが、ダマテンに構えていた多井はもちろん切らない。現物のを切って迂回する。
こういった場面での多井の安定感は凄まじい。
長年Mリーグを見ている方も多井が振り込むと予測した人は少なかったのではないだろうか。
この局は伊達から追いかけリーチがかかるも流局。
東2局では東城からの先制リーチがかかり、当たり牌を2枚浮かせていた多井は守備に回る。
続く東3局1本場ではまたしも東城の先制リーチに対して多井が当たり牌を一発キャッチ。
多井は親番ではあるものの、東城がドラのをカンしており高打点が目に見えている。とてもイーシャンテンから無筋は勝負できない。
一旦手を崩し、現物を切りながら終盤にテンパイを入れる。
そしてラスト2巡で引いてきたで多井は小考に入る。
が通っており、が4枚見えているので両面・ペンチャンは否定されている。比較的通りそうな牌ではあるが、先述の通り東城のリーチはドラ4が確定している。
安全そうな牌だとしても、易々と打てる状況ではなくなっている。
多井の選択は切り。力強く打ち出した。
結果はまたしても流局。
多井が執念の粘りで親番を繋いだ。
多井は短期決戦において、打ち方を調整することをしばしば「ギアを上げる」と表現している。ファイナル1戦目となる多井だが、優勝を目指し打ち回しを調整してきていることが垣間見えた一局だった。
しかし続く1本場で多井は振り込みに回ってしまう。
先制リーチをかけてきた伊達に対してドラのを切りリーチを敢行。これがリーチ赤ドラ3の満貫に突き刺さる。
親番での加点を目論んでいた多井としては痛恨の放銃。
対してここまで苦しい展開が続いているKONAMIにとってはトップが近づく待望のアガりとなった。
そして東4局ではトップ目堀が伊達に跳満を放銃。