個人戦もチーム戦も
目指すは最強の二文字
魔王・佐々木寿人の逆転劇
【B卓】担当記者:TYAS 2023年5月28日(日)
本田朋広(TEAM雷電)
Mリーグ初年度こそ大きなマイナスで低迷したものの、2022−2023シーズンで大爆発を果たし個人成績2位で終えた本田。28戦13勝のトップ率は、30勝13勝の佐々木寿人を抜いて堂々の1位である。
勝又健志(EX風林火山)
巧みなゲームメイクと高い麻雀知能から、「麻雀IQ220」「麻雀軍師」と評される。常人よりもひとつふたつ先を見据えた数々の打牌選択は、これまで勝又に多くの勝利をもたらせてきた。個人5位の成績は順当と言える。
佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
「魔王」「麻雀攻めダルマ」でお馴染み佐々木寿人の基本戦略は、シンプルに攻め続けることである。しかしアタリ牌だけはピタリと止めるから他家は堪らない。2022−2023シーズンの個人成績は6位であるが、Mリーグ5年間の通算成績は、多井隆晴に次ぐ貫禄の2位である。
高宮まり(KONAMI麻雀格闘俱倶楽部)
「狂戦士」の異名を持つ、寿人と同じ攻撃タイプの雀士。集中すると麻雀だけが脳に残って周囲の風景が消えることがあるという。突き抜ける時はどこまでも点棒を積み上げる高宮であるが、意外にも個人8位はMリーグ5年目にして最高の成績である。1半荘勝負である最強戦のルールは、彼女のスタイルに合っている。
東1局、高宮がこの形からを仕掛けてを切り出した。
今シーズンのMリーグでは、鳴きのスタイルが変わり攻撃の幅が広くなった高宮。
最強戦ルールは赤ドラが無いため、打点作りにセンスが問われるのだが、このまま手を進めたメンピンより、仕掛けたチンイツの方がくっきりと満貫を目指せる。
この局は勝又が寿人から静かに1300をアガった。
流局を挟んで東2局1本場。積極的に仕掛けてトイトイテンパイを入れていた本田が、寿人の親リーチに手詰まり、の対子落としで7700を打ち上げてしまった。
押し寄せた無筋に屈服したオリ打ちであるが、致し方の無い放銃に見える。
東3局、勝又から3面張の勝負リーチが入った。アガればこの半荘の趨勢を決めかねない手であり、山にも十分アガリ牌が残っている。
威風堂々の勝又。その横で、前局オリ打ちをした本田の表情は飄々としていた。
放送対局に慣れているとはいえ、大舞台において字牌の対子落としで放銃してしまえば、ガックリと肩を落としてもおかしくはない。しかし本田はほぼノータイムで、勝又のリーチに向かって噛み付いた。
この切り替えの早さが、本田朋広の強みなのだ。
5対2の枚数差を跳ね返し、本田の牙が勝又の胸元を抉った。
点数以上に価値のある2600の和了。
東3局、勝又が今度こそとドラドラ3面張リーチをかける。
またしても本田が、ドラのをリーチ一発目に切り飛ばしてリーチに被せていく。
次巡河へツモ切られた本田のに対して、勝又のロンを遮る別のロンの声がした。
高宮の三暗刻、頭ハネである。仮テンのような高宮の待ちを凝視する勝又。
2局連続で勝負手を蹴られた形の勝又であるが、電光石火で2000・4000をアガった。
開けられた手だけを見れば「なんだツイてんじゃん」と見えるかもしれない。しかし勝又は、
2巡目にこの手から三色と一通を見据えてノータイムでを離している。ここまで不運が続いた後でも全く落ちることのないその打牌精度の高さが、なんとも憎らしい。
東4局、置いていかれた形の本田であるが、メンタンピンツモの1300・2600で微回復を果たす。
流局後の南1局1本場。高宮の先制リーチ。
本田から待ちの片方であるを暗カンして追いかけリーチされるも、ラスを力強くツモりあげ、2000・4000。
2位までが勝ち上がる最強戦ルールにおいて、有利な立場となった。
南2局の流局を挟んで、南3局1本場。
勝又が2巡目リーチ。