みんなで一緒に“ゴリラ麻雀”
文・ゆうせー【木曜担当ライター】2024年3月7日
瑞原明奈は試合前に、控室でこう語った。
「私、役牌に嫌われてるんですよ」
第1試合
東家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
南家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
西家:醍醐大(セガサミーフェニックス)
北家:猿川真寿(BEAST Japanext)
誤解がないように言っておくと、冒頭の文言はYouTubeの配信で、
「どうやったら麻雀牌と仲良くなれるんですか?」
という質問に瑞原が、
「牌を可愛がってしつけてあげる」
と冗談まじりで答えていたときのものだ。
「牌を可愛がるとよい」というのは、解説でおなじみの土田浩翔がよく話している考え方。
瑞原は、アベマプレミアムの宣伝でもよく語っているように、
麻雀を見るのが非常に好きで、そこから麻雀ハマっていった。
だからこそ、解説でよく聞いた土田イズムを、心の中に留めおいているのだろう。
もちろん、この考えを元として、実戦で最善とされる選択を変えるわけではない。
しかし、瑞原が「役牌を切るのが早い」のは事実だ。だから、瑞原は「役牌には嫌われてるだろうなー」と言っているのである。
そしてこの「役牌の早いリリース」こそ、
最近よく聞く“ゴリラ麻雀”の、2大ポイントのうちの1つなのだ。
東1局1本場、
瑞原はここで、
から打った!
まだまだブロックは足りないものの、浮いている数牌が真ん中ばかり。仕上がれば、タンヤオやピンフ、234の三色といった手役が狙える。
そして、門前で進めてリーチと組み合わせれば破壊力倍増だ。
一方で、役牌が重なっても、鳴くと安くなってしまう。
ならば、率先して河に役牌を並べることで場に役牌を安くして、
「みんな一緒に門前で進めようね!」
という提案をしているのである。
同じ最高位戦所属で、Mリーグファンにもおなじみの村上淳の切り出しに近い、というとイメージが湧きやすいだろうか。
ちなみに、ルールこそ違えど麻雀AI「NAGA」の解析にかけるとまた面白い。
こんな感じになる。牌の上に伸びているのが、推奨度のバーなのだが、全5タイプのうち、今画面に映っているヒバカリ以外は、役牌の重なりを重視してオタ風の切りを推奨している。
ただ、切りを推しているヒバカリタイプは、「門前の2ハン役を重視して、少し速度を落としてでも価値ある手を作ってリーチを打つ」重厚なモデル。
まさに、瑞原の打ち筋とリンクしているではないか。
もちろん、役牌を重ねて、もしくはアンコにしてのアガリルートも有力なので打とするのにも異論はないが、「決め手特化」の打もルートとして有力だということが分かる、非常に興味深い局面であった。
この手が、
8巡目にテンパイし、「おりゃっ!」とリーチ!
Mリーグの麻雀では、誰かと一緒にアガってゴールインすることは出来ない。
打点を最大にしつつ1着でテープを切ることを狙ったが、この局は流局となった。
次の東2局2本場では、
緩急をつけてダマテンに構え、猿川から12000は12600の大物手をアガる。これで瑞原はトップ目に。
続く東2局3本場、
瑞原は少しの間の後で、
ドラのを切った!