逆算で勝つ麻雀は
卓上の中心でリーツァと叫ぶ
文・坪川義昭【金曜担当ライター】2024年3月22日
ここ1ヶ月毎試合注目はセミファイナルの残りひと枠をどのチームが勝ち取るかという点にあった。
各チームの選手、ファン共に緊迫し心休まらない日々を過ごしていたと思う。
しかし、今日は少し違った試合となった。
第2試合
東家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
南家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
上位陣同士の組み合わせとなり、残り試合数とポイント状況を加味するとレギュラーシーズンで敗退の可能性は極めて低い。
勿論ポイントは稼げば稼ぐほど次のステージでは優位になる為、常に勝利を目指すのだが、視聴者が意識するのは【個人MVP】である。
やはり自身が応援するチームや選手が獲得すると嬉しさも人一倍で、そこには過去に数々のドラマも生まれている。
選手側の意見はおそらく全員一致の『チームが勝つことが最優先で、獲れたら嬉しいもの』なのだが、世間はそれ以上に興味があり楽しみな分野なのだ。
2024.03.22現在
1位 瑞原明奈(U-NEXT Pirates) 378.4p
2位 勝又健志(EX風林火山) 305.9p
2位 鈴木優(U-NEXT Pirates) 305.9p
今年は300pの壁を超えた選手が挑戦権を得るだろうか。
その壁を乗り越えようとする【現役最強】の一角を担う打ち手がいる。
仲林圭だ。
Mリーグ参戦初年度は思うような成績を残せず、悔し涙を流した男が遂に今年本領を発揮した。
東1局
仲林のチー発声からゲームは始まった。
役牌が2つの手牌は容易に高打点が作れる為、マンズのホンイツを目指したり、もう少し自分のツモを見たり、なんてプレイヤーも多数いるだろう。
しかし、ここさえ解消しておけばアガリは目の前で自身の点棒が減るリスクはかなり少なくなる。
誘惑に駆られないドライな仕掛けだ。
周りが早いタイミングの仕掛けに警戒している間に400-700のツモアガリ。
東2局1本場
摸打のテンポが常に一定の仲林が珍しく手を止める。
手牌は勝負手でを切るのが受け入れ最大だ。迷うことはないはず。
しかし、大前提に相手の速度感というものがある。
高宮は既に赤牌を切り飛ばして今にもリーチがかかりそうなのだ。自身がテンパイする時に切り出す牌がほぼなのであれば全方向に危険なを先に処理して安全度の高いを残したい。
その時のリスクはチートイツのテンパイを逃してしまうこと。リスクとリターンを天秤にかけていた。
一見地味なプレーだが仲林の強さを支えるバランス感覚である。
予想通りに二件リーチが展開される。
このテンパイならば勿論三件目で参戦となり松本から12000点の出アガリとなった。
『受け入れ枚数を減らして、もったいない』と思うだろうか?
あまり関係ないかもしれないが、そういえば二人の入り目はマンズであった。