吹き荒れる嵐のなかで最善を
パイレーツ船長・小林剛の
被害を抑える航海術
文・東川亮【バックアップライター】2025年11月6日
第1試合
東家:小林剛(U-NEXT Pirates)
南家:阿久津翔太(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:三浦智博(EARTH JETS)
北家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
大和証券Mリーグ2025-26、11月6日の白卓第1試合は、激しい乱打戦となった。
まず飛び出したのは三浦、序盤から3連続のアガリを決めて、15000点ほど持ち点を稼ぐ。
しかし、東3局1本場には三浦の先制リーチに対して阿久津が高目三色の追っかけリーチをぶつけ、ハイテイで高目
をつかんだ三浦が満貫を放銃。
東4局1本場には阿久津・三浦のリーチに対し、親番の高宮が赤を3枚内蔵したリーチで真っ向勝負。これをツモって6000は6100オール、一気にトップ目へと駆け上がる。
南1局3本場、
ポン、
ポンの三浦が
を加カンすると、
リンシャンで
を引いて大三元が色濃く見える形に。たとえ大三元にならなくともホンイツ小三元で高打点は十分期待できる。
そこに対し、高宮は
を切ればピンフ赤のテンパイという形になるが、現物
を切ってテンパイを取らず。
しかし次巡に
を引き、今度は高目567三色の形に。
考えた末に、
打点の見返りが期待できるということで、ここは
をプッシュ!
阿久津から高目
を捉えてピンフ三色赤の8000、トップ目からさらなる加点に成功。
オーラスは阿久津が赤1のリーチ、5800の三浦をまくるためにはツモでも直撃でも偶然役が必要。
そこに対し、2600の放銃までなら2着で耐える三浦は一応テンパイの形で少考し、暗刻の
を切った。形をキープする一打、そして放銃になったとしても自身からドラの
が3枚、赤も2枚見えており、
での放銃であればそこまで手役も絡まず耐えられそう、という読みもあったか。
阿久津からロンの声がかかり、手牌が開けられる。
手の内はリーチ赤の2600だった。しかし裏ドラがなんと暗刻の
!
三浦は痛恨の満貫放銃で3着落ち、阿久津が2着浮上。
そしてトップは高宮、これで個人3連勝。また自身のレギュラーシーズン30勝目という、メモリアルな1勝となった。
とまあ、これで観戦記としては一応成り立っているのかもしれないが、今回取り上げたいのは、ここまで本文中に一度も名前が出て来なかった、小林剛についてである。
率直に言えば、この日の小林に出番はなかった。スタッツもご覧の通り、他3者が高打点の応酬を繰り広げたなか、小林はアガリも放銃もゼロ。
しいて言えば、東4局の高宮とのリーチ対決は瞬間4対0という圧倒的優位な勝負だったが流局。これが唯一のチャンスと言えばチャンスだったが、アガれるところにアガリ牌がなければどうしようもない。
麻雀においてしばしば「どうにもできないラス」というものが訪れるのは、自身でそれなりに打っている方であれば身をもって体験されていると思う。海賊船の船長からしてみれば、抗いようのない嵐に巻き込まれた、というのが適切か。
しかしそうした状況にあっても、小林はただ座ってこの試合を終えたわけではなかった。
たとえば東4局2本場の場面。赤含みのカン
チーをしていた小林は、
をポンして役をつける。
ここからソーズのホンイツまで、と考える人もいるかもしれないが、小林はあくまでアガリをまっすぐ目指し、2度受けの愚形部分を処理していく。















