熱論!Mリーグ【Thu】
渋谷ABEMASを支える
「ミスター木曜日」白鳥翔、
オーラスの判断の行方
文・東川亮【木曜担当ライター】2019年12月5日
「大和証券Mリーグ」レギュラーシーズンは、もうすぐ日程の半分を消化しようとしている。日程が消化されるにつれ、成績もさることながら、チーム、そして選手についてもいろいろなデータや傾向が出てくるものだ。
チームによっては、極端な不調者をしばらく休ませたり、好調な選手を多く起用したりするところもある中、均等に選手を起用しているのが渋谷ABEMAS。多井隆晴の体調不良などによるイレギュラーはあったものの、ここまでは全選手がある程度フラットに出場してきている。選手の調子などで起用法を変えないというのは、他チームと比べて特徴的な点となっている。
その中で好成績を挙げている白鳥翔。なんと今シーズンの白鳥は、ここまで木曜日に3戦して全てトップと、「ミスター木曜日」とも言うべき結果を残している(10/10、11/21、11/28)。偶然と言われてしまえばそれまでなのだが、そんな男が出てくるとあらば、見る方としてはついつい期待してしまうものだ。
第1回戦
南家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
北家:小林剛(U-NEXT Pirates)
この試合で先制を取ったのは小林。東1局、好配牌をもらった茅森のリーチを受けるも、ドラ暗刻の手で茅森のを捉え、満貫のカウンターを食らわせる。
小林は東2局1本場でも茅森から3900は4200を出アガリ。東3局では丸山のドラ4リーチを潰し、着実に加点をしていく。
しかし小林の親番となった東4局では、逆に茅森が小林のリーチにドラ4リーチをぶつけ、ツモアガって3000-6000。ラス目から一気に2着目まで浮上した。
ここまでの白鳥はなかなか手が入らず、勝負をすることすらおぼつかない。何もできずに負けることもあるのが麻雀というゲーム。それは、実際に麻雀に親しんでいる方であれば、きっと共感していただけるだろう。
大事にしたい最後の親番でも、5巡目で丸山のリーチを受けてしまう。
しかし、微差のラス目で迎えた親番とあれば、押す理由としては十分だ。ひとまずのトイツ落としでまわるも、ここまで形が良くなればと、無スジのドラ表示牌をプッシュ。
そしてテンパイならばとを切って追いかけ、をツモってこの試合での初アガリとなる1300オールをアガった。
親番で畳みかけたいところだったが、ここで立ちはだかるのはやはり小林。再度飛んできた丸山の先制リーチを蹴るアガリで、白鳥は親番を落とされてしまった。
局は進み、トップ目の小林と13800点という状況で、場面は南3局へ。トップを見るのであれば、ここである程度の点数を稼ぎ、条件を軽くしておきたいところだ。
丸山のリーチが空振って迎えた南3局1本場。ここで白鳥に、ついに勝負手が入る。この配牌を・・・
ピンフ高め一気通貫という手に仕上げてリーチ!山には高めのしかなく、ツモれば満貫以上のアガリとなり、一気にトップが見える。
しかしここで黙っていなかったのが、現状2着目の茅森。リーチ直後にドラのを暗刻にして反撃のチャンスを伺うと、白鳥の切ったをチーしてテンパイ。こちらも満貫の大物手だ。
枚数の差にさほど優劣はなく、アガった方がトップへの挑戦権を手にすると言っても過言ではないめくり合い。これを制したのは・・・
「ミスター木曜日」白鳥!力強くをツモると、裏ドラも乗せてハネ満に仕上げ、一気に小林をまくって4000点差のトップに立った。
白鳥にとって残る仕事は、オーラスを確実に消化するのみ。しかしそこで待ち受ける親は、手数の多さでアガリをものにしてきた小林である。消極的に打てば、ペースを握られ後手に回らされてしまうだろう。
行くべきところであれば、中盤であっても生牌のドラを打つ。しかしその決意も実らず、小林の先制リーチを受けると、一発で当たり牌のをつかんでオリ。流局も、テンパイ料で両者の差が詰まる。
さらに次局では白鳥以外の3人がテンパイして流局したことで、白鳥はいったん小林の逆転を許す形となった。
白鳥と小林の点差は3000点。2本場にリーチ棒1本があるので、トップになるにはツモれば何でもOK、出アガリなら直撃以外は1600点以上の打点が必要という状況である。
3巡目、白鳥の手はダブ暗刻、がトイツと、条件をクリアする形に。そこから、5巡目に茅森から打たれたをポンしてイーシャンテン、一気にアガリへと突き進む。さらに、白鳥は小林から打たれたも鳴いた。
これらの鳴きに関しては、判断が分かれるところだろう。ペンが埋まれば最終形はを1枚切ってのリャンメン待ち、あるいは単騎となり、リャンメン待ちだとツモ・直撃が条件となる上、鳴きによって他家の警戒も厳しくなっていることからアガリ率はやや下がる。