魚谷侑未・小林剛・園田賢・多井隆晴、チームのエース&ドラ1が背負う、それぞれの使命【熱論!Mリーグ】担当記者:渡邉浩史郎

ボーダー争いにいるチームやその選手だけが重圧や責任に苦しんでいるわけではない。首位チームの選手もまた常に目の前の半荘と向き合って、チームのためにもがき苦しんでいるのだ。

既に園田に危険な生牌だが、後で切るよりはましということだろうか。覚悟を決めて打ち出していった。

園田の大物手VS魚谷の超大物手のイーシャンテン対決。先にテンパイを入れたのは……

魚谷だ!

このでツモり四暗刻のテンパイ。いったい今期何度目の役満テンパイだろうか。

魚谷はこれをツモアガれば一気に同点4着⇒1着の3着順アップ。一方の園田は2着⇒4着の2着順ダウンとなってしまう。現状パイレーツ小林を捲ってのトップが見える点差なだけに、アガられてしまえば痛恨だ。

しかし13巡目、園田も追いつく。ホンイツ、7700点のテンパイ。

しかし待ちは魚谷に暗刻の待ち。しかもすぐに小林が一枚吸収して山に0枚となってしまう。

一方、魚谷の待ちのは山に3枚。園田はツモられても振り込んでもラス落ちだ。圧倒的に不利な状況と言えるだろう。となれば脇の放銃が望ましい。しかし……

小林はすでにベタ降り。

イーシャンテンで粘っていた多井はを掴むが、これを止める。

魚谷の押しの後の完全安牌手出し。テンパイしていておかしくない。

さらに魚谷の河は変則気味であり、中筋とはいえ生牌は切れないという判断だ。もマンズの下が安い割には一枚しか見えていなくて切れない。面子を抜いて完全なるベタ降りに向かう。多井の繊細な守備が光った。

これで完全に園田と魚谷の一騎打ち。流局か、魚谷のアガリか……

しかし17巡目、園田にもまだチャンスが残されていた。

ツモで待ちがに変化。は赤が山に一枚!これをアガれば4100オールで抜けたトップ目だ。

園田か?

それとも魚谷か?

チャンスとピンチの表裏一体。麻雀の神様はどちらに微笑むのか?

次巡、園田が更に選択を迫られる。

少し分かりにくいが、

という形。

を切っての待ちか、

を切っての待ちか。

安全度なら切りだ。明らかにやる気のある捨て牌の魚谷には、ダマテンが入っていておかしくない。は魚谷に対しての中筋かつ枚持ちで、よりはよほど安全度が高いと言える。

一方アガリ率を取るなら切りだ。待ちとなるはともに生牌待ちとは見た目枚数で4枚も差がある。が絞られやすい状況に加えてこの終盤、アガるだけなら両面に取る一手だろう。

園田の選択は……

切りだ!

この終盤でも更に相手の懐深くに切り込んでいく打。園田の麻雀スタイルを象徴するようなだ。

この選択が、園田が自身を証明するかのごとく選んだ打が、信じられない展開を呼ぶ事となる。

次巡、園田が引いたのは……

なんと裏目の。これで4100オールのアガリを逃してしまう。

しかも園田の引いたは、ただの裏目ではなかった。

視聴者を包むある予感。

「ツモ」

いつもより力を込めたツモのモーションと発声。それと共に開かれた魚谷の手はそう、

役満・四暗刻だった。

一牌の後先、一手の遅れ、たった一つのミスとは言えない裏目で天国と地獄、こうも明暗が分かれるのが麻雀の恐ろしいところ。それにしても最近のMリーグには、何か魔物のようなものが潜んでいるような気がしてならない。

この試合の大勢は決したと言っていいだろう。とはいえまだドラ1エースたちには、やるべきことが残っている。それぞれがそれぞれ、状況によってこなすべき使命があるのだ。

【南4局】

ラス親の魚谷が四暗刻ツモの勢いそのままに、6巡目でこの形。ドラのを切って愚形フォロー目一杯の形に構える。

魚谷の使命はわかりやすい。この親番でどこまでも点棒を積み重ねることだ。

次巡、このテンパイもリーチかと思ったが、ここはダマテン。ダマでも出アガリ満貫、高めツモ跳満であれば、わざわざ出アガリ率を落とす必要はないという判断か。

魚谷が切ったを小林がポン。打として、タンヤオ・赤のイーシャンテン。

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