国士無双などいらない! 近藤誠一が下した最強位奪回への決断 麻雀最強戦2020「ファイナル1st」観戦記【B卓】

『近藤さん、あなたの親を終わらせにいきます』

『ありがとう。君の熱い気持ち受け取ったよ』

『君の欲しい牌はこれだね?』

だ!安部の当たり牌だ!

「近藤さんあなたはっ!あなたはやはり!あなたはやはりっ……」(日吉プロ)

「リーチっ」(近藤)

安部の欲しいが山からなくなった。は合計山に2枚。

「近藤さん、のところ索子切ってたらアウトだったかもしれませんね」と近藤とMリーグ同チームに所属する魚谷プロ。そして決着がついた。

「掴んでしまったー!」(日吉プロ)

近藤誠一!ニクいぜ!」(日吉プロ)

リーチドラの9600の加点となった。アガり形とリーチ宣言牌を見るに、入り目っぽくも見える。安部としては嬉しいような、そうでないような気持ちだっただろう。

憧れのボクサーとスパーリングしてボコボコにされて嬉しく思うような感じではないか。「強いんですよ。仲間だったら心強いしかないんですけど、敵だと本当にイヤ」(魚谷プロ)

結果は放銃となったが、安部の実力の高さも存分にわかる一局だった。

南1局1本場

エンジンがかかった近藤、続くこの局も足を止めない。

リーチ一発ツモで裏も乗せて4000は4100オール。強い、強すぎる。これでほぼひと席が確定した…が「近藤さん緩めないと思うんですよ」(梶本プロ)。そんな気がする。

南1局2本場

点差がつくと下の者は厳しい。必然的に高打点を狙う手組みをしなければならない。安部はこの手。を切ればのシャンポン待ちリーチをかけられるが、それでは安すぎるか。

1枚を切って、一気通貫の目を残した。1000点で局を流すわけにはいかない。しつこいようだがとても麻雀歴1年とは思えない渋みを感じる。

安部が沈んだことで状況がよくなったのは新井。近藤でぼやけてしまったがこちらも渾身のメンホン七対子ドラ2を決めたではないか。ぜひとも繋げたい。

近藤は緩めない。を落として染めていくのも考えられたが、ここは打とした。悠々自適に染めライフを楽しむかと思ったが、が場に2枚見えていたのでしっかりと使えなさそうな牌を切る。緩めない。

新井にのみのテンパイが入った。打としてペン待ちにする。ここはダマにした。自分の捨て牌が筒子高いのもあるだろう。を引いたらとのシャンポン待ちリーチはありそうだ。

近藤からが出たのを見て素早く反応。

近藤の親を終わらせ、安部の追撃を未然に防ぐ価値あるアガりとなった。これでいよいよ近藤新井の上位と滝沢安部の下位という構図がくっきりしてきた。

南2局。さあこの局で筆者が最も驚いたシーンが出る。

近藤は国士無双模様のお休みの手。

手が入っていたのは安部。ここで満貫級を決めたいところ。パッと見た限りでは安部の手がかなりよく、いつ先制リーチを放てるかという勝負に思えた。

ところが、風向きが変わってきたのだ。

近藤の国士無双が育ってきているのである。がくればオーバーキルの役満完成だ。

「危ない」という声が魚谷プロと日吉プロから出る。この男ならやりかねないオーラがあるのである。

「ああっ!」(日吉プロ)

山にあと1枚しかなかったを引いた。これでイーシャンテン。

安部が先にテンパイ。を切ってカン待ちとなったのだが、このはもし近藤が先にをツモっていたら「ロン」と言われる牌だった。危ない危ない。

は山にあと3枚。は1枚しかなく、滝沢が対子で持っていた。

こちらもイーシャンテン。ただ、滝沢が対子を落とす可能性もあり、なかなかに国士の実現性が高い状況だったのだ。

そのため「新井さん(安部に)打ったほうがいいかもしれない」(魚谷プロ)と見の危険を案じられるほど(打とした)。こんなことになるとは。大魔神がすぐそこまで迫っている。そして

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