感覚派が流した幻の四暗刻 裏天王山を和久津晶はどう制したのか【Mリーグ2020観戦記1/26】担当記者:ZERO

感覚派が流した幻の四暗刻

裏天王山を和久津晶は

どう制したのか

文・ZERO【火曜担当ライター】2021年1月26日

プロ野球でもJリーグ(サッカー)でも、優勝争いと同等…いや時としてそれ以上に盛り上がるのが残留争いである。

そういう意味で今日の対戦カードは注目必至となる。

1月26日 1戦目

東家 村上淳赤坂ドリブンズ

南家 瀬戸熊直樹TEAM雷電

西家 瑞原明奈U-NEXTパイレーツ

北家 和久津晶セガサミーフェニックス

4位・5位・7位・8位の戦いとなったのだ。
特に7位・フェニックスと8位Piratesは残り30試合を切った中で、是が非でも残留ラインを目指して浮上したいところ。

チームが敗退となれば、残りのセミファイナル・ファイナルでの戦いを複雑な心境で見届けなければならないし、「選手入れ替え義務」にリーチとなってしまう。ファンの気持ちも少しずつ離れていってしまうだろう。だからこそ、何が何でもセミファイナルに残りたいのだ。

優勝争いへの大一番を「天王山」と表現することがあるが、さしずめ今夜の戦いは「裏天王山」といったところか。

東1局 村上の幻惑ドラ切り 屈しない瀬戸熊の反撃

配牌が1番悪かった親の村上が、6巡目にこんな手牌からドラのを切った。↓

愚形だらけでとても戦える手牌ではない。
では、なぜ村上がドラを切ったのかというと、1つは自分の手に不要であること、もう1つは孤立のドラを抱えたまま相手から仕掛けやリーチが入ったら立ち向かえないこと、そしてさらにもう1つの理由は解説の寿人が語ってくれた。

寿人「エラーを誘うドラ切りですね」

どういうことか。
例えば瑞原がここから安全牌のを残してを切った。↓

は、ピンズがの2度受けということもあり持っておきたい牌である。ソウズが横に伸びた時にを残しておかないと雀頭がなくなってしまう。
そして瑞原はこういうをシンプルに引っ張るタイプでもある。その瑞原にを切らせたということで、村上のドラ切りがいかに効いているかがわかる。

を切ったことでアガリ逃しやテンパイ逃しになることもあるだろう。

さらに瀬戸熊からリーチが入る。

これを受けた村上の手牌。↓

苦しいことには間違いないが、それでもドラのが浮いているのと安全牌のを保有しているのでは、その後の押し返し・形式テンパイ率に大きく関わってくる。

チームメイトの園田を彷彿とさせる早めのドラ見切りという選択肢に、私は唸ってしまった。

結果は瀬戸熊がツモ。

リーチ・ツモ・ピンフイーペーコー・ウラウラ。

瀬戸熊の待ちは。自身の目から4枚見えていてあまり良い受けとは言えない。親の反撃に備えるのと、メンチンへの渡りを見てダマに構える打ち手もいるだろう。

しかし村上の幻惑に屈せずにリーチを打ったことで、ツモ、ウラウラという幸運が舞い込んだ格好だ。

瀬戸熊もかなり手応えがあったのではないか。

東2局 失意の瀬戸熊

その瀬戸熊がやらかした。

あえて「やらかした」と表現しよう。

なぜなら瀬戸熊自身がその後に何度も後悔の表情を見せたからだ。

こんな大物手が入った。↓

ダブ暗刻だけでも嬉しいのに、さらにそれがドラ。
瀬戸熊はここから打と、ホンイツを目指す。

続いてをチー。

イーシャンテンからイーシャンテンへの鳴きだ。

メンゼンのままだとしかテンパイしないが、鳴いた後はピンズ全てがテンパイする。また、が瀬戸熊の目から見て4枚目の牌なのでここを鳴いておくと楽になるという感覚なのだろう。

ただ、瀬戸熊がこういう「シャンテン数の変わらない鳴き」をするのは意外だった。

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