瑞原明奈と松ヶ瀬隆弥、MVPをかけた二人の激突と駆け引き【Mリーグ2021観戦記2/21】担当記者:東川亮

瑞原明奈松ヶ瀬隆弥
MVPをかけた
二人の激突と駆け引き

文・東川亮【月曜・木曜担当ライター】2022年2月21日

大和証券Mリーグ2021、2月21日の第1試合には、首位のU-NEXT Piratesから個人成績1位の瑞原明奈が、2位のEX風林火山からは個人成績2位の松ヶ瀬隆弥が出場した。チームはもちろん、個人タイトル争いの行方も注目される終盤戦。この二人の対決に注目が集まるのは当然だが、他の選手だって、黙っているわけにはいかない。

第1試合
東家:松ヶ瀬隆弥(EX風林火山)
南家:東城りおセガサミーフェニックス
西家:岡田紗佳KADOKAWAサクラナイツ
北家:瑞原明奈U-NEXT Pirates

開局から流局が2局続き、東3局2本場。親番の岡田がダブ【東】をポンしてペン【7ピン】待ちテンパイ。ドラ赤で12000と、打点は申し分ない。

ダブ【東】を打った松ヶ瀬は、ご覧の形。臨戦態勢だったからこそダブ【東】切りも辞さずということだ。リャンカンを埋めてピンフドラ1のリーチ。

チャンス手をテンパイしていた岡田が、一発目につかんだ【5ピン】をツモ切って放銃。8000は8600、まずは松ヶ瀬がリードを奪った。

東4局1本場。東城は4巡目のカン【8ピン】待ちテンパイをノータイムで外した。【8ピン】2枚切れで待ちが悪いのはもちろん、【白】の暗刻やドラ【1マン】引き、【6ピン】を引いての好形変化など、現状よりも良い形になる変化はたくさんある。

次巡、ドラ【1マン】を引き入れてペン【3マン】待ちリーチ。アガれば2600以上の打点は確保された。

これにうまく対応をしていったのが岡田。リーチ後すぐに引いた【3マン】がかなり不安定な形で残っているが、まずは【東】のトイツ落としで迂回。ただ、これも生牌であり、怖い牌には変わりない。

【8ソウ】引きはツモ切り、

【7ピン】引きでは【4ピン】と、【3マン】をこらえながらの進行が続く。

【4マン】の縦引きも見ている側には意地悪に見えるが、

岡田の選択はツモ切り。東城にドラ【1マン】が通っており、【4マン】ならもし放銃してもドラが絡まない、ということか。何より好形、ファイティングポーズを崩さない進行で、こうなれば【3マン】は出て行かなさそう。

【3マン】は山に残り1枚だった。だが、アガリ牌は1枚あれば、それでいい。終盤に東城がラスト1枚をツモアガると・・・

望外の裏3、本場を入れて3100-6100。強烈な一撃で、一気に東城がトップ目へと躍り出る。岡田は非常にうまく立ち回っていたが、ここは東城が上回った。

南1局では、MVP争いの二人が激突する。先制リーチは親番の松ヶ瀬、ドラドラ赤のリャンメン待ちで打点も形も十分。

直後に瑞原が追い付く。タンヤオ三暗刻が確定、打点はダマテンで6400。待ちの【2ソウ】【5ソウ】は場に4枚切れ、リーチをかけている松ヶ瀬が【5ソウ】を切っている。リーチをかけての打点上昇は6400から8000とそれほど大きくないこと、一手変わり四暗刻テンパイの牌姿でもあることから、ダマテンを選ぶ打ち手が多そうではある。

だが、瑞原はここを最終形と考えていた。

場を見ると、すでに【4ソウ】が2枚、【6ソウ】が1枚切られている。四暗刻変化は難しそうだし、変化したところでそもそものアガリが相当厳しい。そしてソーズは全体に満遍なく切られており、【2ソウ】【5ソウ】待ちの景色は良さそうだ。

この手で行くならリーチ。【6マン】を曲げた瑞原の手に、気合いがみなぎっている。

勝ったのは瑞原、自らツモり、裏ドラを1枚乗せて3000-6000。ライバルの松ヶ瀬に親かぶりをさせ、自身はトップ目に浮上した。このハネ満を決められる打ち手はそう多くはないだろう。この後、南2局・南3局は共に瑞原が小さくアガり、トップをキープしてオーラスを迎える。

南4局、瑞原が自身も振り返っていたターニングポイントとなったのが、4巡目に岡田が切った【8ソウ】をスルーしたことだった。鳴けばテンパイ、【2ソウ】【5ソウ】待ち。役はタンヤオだが、一回アガっておくことで松ヶ瀬の満貫ツモ条件は消せる。それをしなかったのは、1500をアガっても2番手東城の条件はそれほど変わらないこと、また巡目も早く、ここで手を短くするリスクを取るよりいったん様子を見たかった、というところがあったのかもしれない。

直後、瑞原が切った【9マン】を松ヶ瀬がポン。ドラのダブ【南】がトイツで、もう1枚重ねての満貫ツモなら逆転トップ。アガリを【南】ツモに定め、他の形を確定させていく。

しかし、瑞原・松ヶ瀬共になかなかテンパイできず、先制したのは東城。リーチ赤赤のカン【2ソウ】待ち、出アガリは一発か裏ドラ条件だが、ツモれば逆転トップ。【1ソウ】は自身から全て見えており、【2ソウ】は東城にとってかなり感触のいい待ちになっていたという。

リーチの一発目、松ヶ瀬は【3ピン】を引いて手を止めた。【3ピン】は東城の現物である。自身のアガリだけを考えるなら、悩まずに切れそうな牌だ。

だが、松ヶ瀬は考える。

松ヶ瀬は【9ソウ】を切った。東城はソーズを1枚も切っておらず、全くの無スジである。もしこの【9ソウ】で東城に8000や12000の放銃となった場合、自身は素点を失うが、東城をトップに押し上げることで瑞原を2着に後退させることになる。トップから2着になることで失われる順位点は40ポイント。つまり、チームの順位・MVP争いの両面でライバルになる瑞原のことを考えるなら、松ヶ瀬は自身が放銃したとしても東城にアガってもらった方が得なのだ。よもや、この状況で全く条件を満たさないリーチをしているとも考えにくく、また役ありで満貫以上あるならおそらくダマテンにすることから、自身がラスになる倍満クラスのリーチであることも考えにくい。このあたりは、終盤戦ならではの駆け引きである。

\近代麻雀の新刊・好評発売中!/
  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!