【 #神域リーグ2023 第7節第21試合観戦記】鈴木勝は確かに進んでいる さあ、声高々に叫ぼう 今日も元気に――【文 #後藤哲冶 】

【9ソウ】【2ソウ】と引いて、今度は字牌を切り飛ばす。
場の状況が変わり、生牌の字牌である【北】【南】は、染め手をやっていそうな或世に後に危なくなる可能性がある。

【1ソウ】を持ってきて、【2ソウ】切り。
ここも丁寧だ。【1ソウ】は親に通っている牌なので、先に【2ソウ】から。この形から一気通貫にはほとんどならないのを理解している。

「リーチ! おらぁ!」

ドラの【6マン】【5ピン】と引いてテンパイ……!
ドラと赤を組み込んだ、8000点が確約されたリーチだ。

これさえアガることができれば、勝は大きくトップに近づくことができる。

同時刻。師匠の千羽黒乃は、鴨神にゅうと一緒に同時視聴を行っていた。
この勝のリーチを固唾を飲んで見守る。

その、結果は。

渾身の、一発ツモ!
裏ドラは関係なく、一発であれば。
役を、数えてみよう。

リーチ、一発、ツモ、ピンフ、赤、ドラ。
6翻。6翻ということは。

さあ、皆で大きな声で宣言しよう。
今日も元気に――

「3000、6000(なのじゃ)!」

2位に、朝陽にいな。
朝陽はオーラスも見事な手順だった。

トップまでは跳満ツモでも届かないので、仕掛けが効く一気通貫を目指して【7ピン】【9ピン】落とし。

【7ソウ】をチーしてカン【8ピン】ロンでフィニッシュ。しっかりと2着を持ち帰った。

勝がこの18000点の超ド級テンパイを入れていたことを考えれば、少しでも欲張ればいきなりラス争いなんていう未来もあり得た。
ここはクレバーな選択をした朝陽を褒めたい。

トップは鈴木勝。
値千金の3000、6000で、勝負を決めた。
これでチームのマイナスは100を切り、上が狙える位置にまで戻って来ている。
その立役者となっているのが、勝だ。

対局後の検討では、勝のいい部分を村上監督が触れていた。
南1局【1ソウ】【4ソウ】ピンフドラ1に辿り着いた局の手組は、真っすぐ素直にアガリを見に行ったからこそ生まれたアガリ。
それはまさしく、勝の良さが出た1局だった、と。

確かに、勝は千羽黒乃の弟子である。それは、とても素敵な関係性。

けれど、千羽師匠の弟子としての勝だけでなく。
一人の麻雀打ちとして、アトラスの鈴木勝として。成長しているのを、如実に感じる事ができた一戦だったのでは、ないだろうか。

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