サクラが散るにはまだ早い
内川幸太郎に託され、託したバトン
文・東川亮【火曜担当ライター】2025年3月25日

大和証券Mリーグ2024-25レギュラーシーズンは、いよいよ最後の1週間を迎えている。
3/24の試合では渋谷ABEMASがポイントを重ねて7位との差を330超まで広げ、最大の焦点だったセミファイナル進出争いも、決着を迎えたように思える。
直接対決を残すとは言え、KADOKAWAサクラナイツとEX風林火山は極めて厳しい状況に追い込まれたと言わざるを得ない。

だがサクラナイツには、最終決戦の前に2試合が残されている。残り4戦は全勝が最低条件、その先陣を切ったのは参入初年度のドラフト1位、内川幸太郎。ここでチームの火を絶やすわけにはいかない。

第1試合
東家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
西家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:仲林圭(U-NEXT Pirates)

東1局1本場。
この局は仲林が1巡目からをポン、さらに
ポンと迫力のある仕掛けを見せる。
ホンイツ進行を本線に見つつ、遠くにはうっすら役満・字一色もありそう。

そこに親の元太が、さらに配牌から4枚あった
を暗槓して、一気に場が沸騰する。

2度目のカンでめくれた新ドラは、仲林に3枚乗って、いよいよ誰がどうアガっても高そうな状況となってきた。

そこに、内川がテンパイする。待ちはカン、ダマテンでもタンヤオでアガることができ、マンズの好形変化も期待できる形だが、内川は即リーチを敢行。待ちの良しあしではなく、裏ドラが3枚も見られる状況でこの手をダマテン2600で終わらせるつもりがない、ということだ。リーチをかければツモって満貫スタート、さらに上も十分に期待できる。

暗槓2つの元太からリーチが来ることも予想の範疇。4連勝を成すためには、このくらい勝ちきっていかないと難しい。

仲林も一度は倍満級のテンパイが入っていたがオリに回り、元太との1on1は内川に軍配。リーチツモタンヤオドラの4翻から、さあ期待の裏ドラは・・・

1個て。
なんなら0よりうれしくない無駄裏1だが、とにもかくにも、内川はまず序盤の山場で大きく加点する。

そしてこのアガリを皮切りに、今期は難しい展開が多かった内川に追い風が吹いた。
東3局1本場には先制の赤1リャンメン待ちでリーチ、直後に追いついた元太のリーチ宣言牌を捉えて7700は8000、2着目からの直撃でリードを広げる。

たたみかけるように、次局はリーチツモ赤赤の4000は4200オール。これで内川の持ち点は5万点を大きく越え、グッとトップに近づいた。

東4局4本場では、4巡目の1シャンテンを取らずにドラ切り。1シャンテンとは言え、ストレートにテンパイしたときは役なし愚形待ちになるということで、自風
のポンやマンズを伸ばしての三色など、よりアガりやすい形を求めていく。いざとなれば、
を受け駒にすればいい。ここは打点よりもアガリが大事、こちらの進行のほうが安定感はありそうだ。

を引き入れて456三色のターツ候補がそろうと、
をチーしてテンパイ、カン
待ち。

そこから数巡経って局が終盤にさしかかろうとするところで、内川は待ちをシャンポンに切り替えた。はなかなか場に出やすい牌ではなく、山に生きているかも分からないが、
は1枚切れで残る1枚は山に残っている可能性が高く、場に放たれることもありそうだ。

親の仲林からリーチが来るも、ツモ番がまわる前にをツモ。打点こそ安いが、親リーチを蹴ってのアガリは感触が悪かろうはずもない。

サクラナイツは今、勝つだけでなく少しでもポイントがほしい。それを考えれば、ここまでは理想的な展開。だが、そう簡単にはいかないのが麻雀である。

南1局は3軒リーチのぶつかり合いとなり、山に残る枚数は内川が有利だったが、萩原への放銃。打点は2600、この程度なら通行料と言っても差し支えない失点だったが、

次局、親の萩原へのドラドラ、7700はあまりに早すぎる上に打点も高い。内川はあっという間に1万点以上の失点を喫してしまう。

失点を取り返そうとした3メンチャンリーチも仲林の赤3リーチに阻まれる。ただ、局は進んだ。

そうして親番を迎えた南3局、内川の表情が印象的だった。

その手は、あまりに彩りを欠いている。
やはり麻雀はままならない、けれどもそれを承知で進まなければいけない。
