副露とダマ 黒沢咲が魅せた“新たな選択”【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/20 第1試合(麻雀LIVEチャンネル)】担当記者 喜多剛士

そして、【4ソウ】を引き入れて【2ピン】【5ピン】【8ピン】の三面待ちのテンパイ。当然リーチかと思いきや、選んだのはダマ。直前に三浦が【8ピン】を切り、白鳥も【7ピン】【9ピン】と外している。巡目と河の情報を踏まえれば、【8ピン】はかなり放たれやすい。しかも、打点はタンヤオ・ドラ・赤2で8000点。十分すぎるテンパイだ。

白鳥から【5ピン】が放たれ放銃。黒沢が8000点のアガリを決め、トップ目の仲林にじわりと迫る一撃となった。

南2局では、三浦から仲林が5200を加点。南3局は流局となり、迎えた南3局1本場

配牌でドラの【6ピン】がトイツ、【9ピン】が槓子という強烈な手牌を受けたのは白鳥。第一ツモで自風の【西】を引き入れ、仕掛けのきく役牌トイツが揃う。【9ピン】を暗槓すれば32符が加算され、実質1翻アップの打点が見込めるだけに、仕掛けのきく【西】は嬉しいツモとなった。

【9ピン】を暗槓して新ドラは【5ピン】

すぐに仲林から放たれた【西】をポンしてリャンシャンテン。

ペン【7ソウ】を引き入れてテンパイ。待ちは【3ピン】【6ピン】

一方の仲林もテンパイ。選択を迫られる場面で、打牌候補は【6ピン】【7ピン】【8ピン】の3種。【6ピン】を切れば四暗刻【7ピン】なら高目で三暗刻・ドラ2、【8ピン】なら【9ピン】がないためイーペーコー・ドラ2。【6ピン】【7ピン】も危険度はほぼ同等と見られる中、白鳥に現物の【8ピン】を切ってペン【6ピン】待ちに受けるのは、あまりに弱気すぎる。

仲林は熟慮の末、最高打点を狙って【6ピン】切り。四暗刻への構えを見せた。

しかし、その【6ピン】が白鳥の手に飛び込む。【西】・ドラ4、8000点の放銃。仲林にとっては、自身の手の価値が高まりすぎたがゆえの、痛恨の一打となった。

 

南4局

南3局で満貫を放銃した仲林だが、依然として黒沢と300点差のトップ。白鳥は満貫ツモでトップ、三浦は跳満ツモで2着浮上が見える状況。仲林にとっては、誰がツモっても2着に転落、放銃すれば3着もあり得るという、押し引きの難しい局面だった。

黒沢はドラの【8ピン】【發】がトイツという、速度と打点の両方が見込める配牌を受ける。

しかし白鳥も【白】【中】のトイツを抱えており、【白】をポンしてホンイツ【白】【中】満貫ツモによるトップを狙う仕掛けに出た。

さらにダブ【南】が重なり、直後にこれをポンして、ホンイツ・ダブ【南】【白】のイーシャンテンに構えた。

なかなかテンパイが入らない中、黒沢がドラの【8ピン】【發】を暗刻にして、【6ソウ】【9ソウ】待ちで先制テンパイ。アガリトップの状況とあって、選んだのはダマ。

しかし白鳥も追いつき、カン【8マン】待ちでテンパイ。ツモればトップという状況。

そして、仲林が放った【9ソウ】が黒沢の手に飛び込む。【發】・ドラ4、8000点の直撃。黒沢が逆転トップを決め、仲林は2着落ちとなった。

この対局では、これまでの黒沢とは一味違う、ダマテンや副露といった柔軟な選択が随所に光った。雷電にとっては、15戦ぶりのトップからの連勝となり、浮上のきっかけとなりそうな一戦となった。

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