副露とダマ
黒沢咲が魅せた“新たな選択”
文・喜多剛士【木曜担当ライター】2025年11月20日
今日の対戦カードは、いずれのチームもマイナススコアに沈んでおり、厳しい戦いが続いている。序盤に上位を走っていたU-NEXT PiratesとTEAM RAIDEN / 雷電も、ここにきて急降下。シーズンはすでに40試合を超え、全体の三分の一を消化したタイミング。ここからプラス圏内に浮上するためにも、各チームにとって重要な一戦となる。
個人スコア156.7ptで、チームのポイントゲッターとして活躍中の白鳥。現在2連勝中で、チームがマイナスポイントに沈む中、個人3連勝でさらなる加点を狙いたい。
黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
前回、萩原聖人のトップで雷電は15戦ぶりの勝利。ここからチームの連勝につなげたい。黒沢自身も個人スコア▲88.8ptと苦戦中で、巻き返しを狙う。
今シーズンから参戦した三浦は、Mリーグ初勝利を挙げたものの、その後は三戦連続で連対を逃し、個人スコアは▲288.1ptと苦しい状況が続いている。ここらで浮上のきっかけを掴みたいところだ。
個人スコア▲195.6ptと、仲林らしくない成績が続いている。前回、開幕以来となる今季2勝目を挙げたばかりで、ここからマイナスを減らしていきたい。
第1試合
東家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
南家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:三浦智博(EARTH JETS)
北家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
東1局
4巡目、安目の
を引き入れてイーシャンテン。役牌の
か
を外すかと思いきや、選んだのは
切り。タンヤオが消えたことで、
引きの![]()
待ちノベタンより
暗刻があるから、くっつきの形に可能性を見たのだろう。
ならノベタンに受けられるが、
なら結局
を切ることになる。だったら、危険度の高い
は先制される前に放っておきたい判断か。
その狙い通り、
に
がくっつき、さらに
を引き寄せてテンパイ。形が整った瞬間、迷いなくリーチを宣言。
そして、
を引き入れてリーチ・ツモ・ピンフ・赤1の1300-2600。
前回トップの萩原に続きたい黒沢にとって、理想的なスタートとなった。
東4局
東2局は、三浦のリーチに対して黒沢が副露で応戦するも、三浦が1300-2600のツモアガリ。東3局は仲林のリーチが入り、流局を挟んで迎えた東4局。
親の仲林は、配牌はオタ風の
がトイツ、筒子が多めの構成。進行次第では
を仕掛けて、ホンイツ・ドラ・赤で満貫も見える形だ。そこにダブ
が重なり、手牌の輝きが一段と増す。
を切って構想は明確に。ダブ
・ドラ・赤で満貫12000、さらにホンイツまで伸びれば跳満18000も見える、勝負手となった。
ここで仲林は、カンチャンの
を仕掛けて
を外し、ホンイツ一直線に舵を切る。残った形は![]()
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の連続形。
や
を引けば三面待ちに変化も見える。しかも、ダブ
は1枚切れ、
はオタ風。放たれやすい牌が揃っており、攻めるには十分な状況だ。
すると、変化を待たずに
が放たれ、仲林はこれをポンしてテンパイ。待ちは
と
。巡目も浅く、ダブ
は1枚切れ、
はオタ風。通常であれば、2副露の親に対してダブ
は切りにくい牌だが、第一打で
を鳴いていないことから、配牌時にはトイツでなかったと判断されやすい。つまり、
は後から重なった場合を除けば、トイツの可能性は低いと読まれ、放たれやすい状況となった。
三浦から
が放たれ仲林に放銃。ホンイツ・ドラ・赤の12000のアガリ。
Mリーグ初トップから逆連対で苦しむ三浦にとっては、痛恨の失点となった。
南1局2本場
黒沢に、とんでもない好配牌が舞い降りた。
赤2・ドラ1のリャンシャンテン。第一ツモで浮き牌の
に
がくっつき、三面待ちと両面のイーシャンテンに変化。打点も形も申し分なし。だが、注目はここから。チーを入れて満貫を受け入れるか、それとも面前にこだわるか。
これまでの黒沢なら、面前で仕上げてリーチ・ツモ・裏ドラで倍満という華やかなアガリを何度も見せてきた。しかし、今シーズンは副露の選択も増えており、どのように動くのかが注目された。















