控室にいる、寿人、高宮、伊達の総意でもあった。
チームメイトの思いとともに、滝沢は勝負の一戦へと向かった。
勝負どころでの鬼連投というと、昔からMリーグを見ている方の中には、「EX風林火山の勝又健志」を思い浮かべた人もいらっしゃるだろう。
今からもう5年ほど前。
2020-21シーズンでは、ファイナルシリーズの最終盤に、EX風林火山は残り4試合で勝又の4連投策に出たことがあった。
勝又は、その4戦を3トップ、2着1回にまとめて、
見事、優勝を飾った。
あれから時が流れた。
チームメイトだった滝沢は、好敵手として今ここで卓を囲むことになる。
そして、二階堂亜樹は「選手兼監督」の立場で、自ら最終戦に出場する運びとなった。
亜樹は、個人賞やレギュラー首位などの条件が絡み合った際の終盤の選手起用について、とあるインタビュー動画で、
「どういう状況になったら誰を出すかを、あらかじめ決めておいた方が後悔がない」
と語っていた。
ここも、前の試合に登板した永井が「3、4着だったら連投はなし」と決めておいて、結果、起用しない流れとなった。
ファンの方の中には、個人タイトル争いを最後まで見届けたい、永井に打たせてほしい、と思った方も当然ながらいるに違いない。
ただ、Mリーグで各チーム120試合を打った上での「首位通過が決まる条件戦」を、加入1年目の選手に任せるのも酷なものだ。
大きなタイトル戦での条件戦の経験値、という点でも、今季勝又の調子がなかなか上がってこないことを踏まえて、ここは亜樹が出るのが良かったように私は思う。
万人が納得する起用、というものはないに等しい。
その中で、監督という立場で責任と覚悟を背負って、
二階堂亜樹は、勝負の場へと赴いた。
そして、KADOKAWAサクラナイツは、
渋川難波が出場。
チームとしては苦しいシーズンであったが、渋川個人としてはここまで170ほどのプラス。
内容としても、過去一番と言えるほど、今季は充実していたように感じる。
応援してくれるファンに向けても、ここはしっかりとした内容で締めくくりたい。
各チームの思惑が入り交じる中、始まりの時は訪れた。
第2試合
東家:二階堂亜樹(EX風林火山)
南家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
北家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
東2局2本場。
「リーチ…!」
地を這うような低い声が、卓上に響いた。
声の主は、
多井だ!
待ちは
–
。ドラでアガることができれば、満貫以上の大物手となる。
勝負手というのは、得てしてぶつかるものである。
ドラをトイツで持って仕掛けていた滝沢が、カン
待ちで追いついた!
さらに、
タンヤオで動いていた親の渋川も、2つ鳴いてテンパイ。こちらは
–
待ちだ。
亜樹は、
しっかりとガードを固めていた。
“たかちゃん(多井)ツモれ!!!!”
“タッキー(滝沢)アガって…!!”
“渋(渋川)、押し切ってくれー”
という応援の声。
そして、
“多井さんだけはアガらないで…”
“滝沢さんが放銃してくれたら助かる──”
“せめて横移動でお願いします!”
自分の応援するチームにとって都合のいい展開を願う気持ちとが、白黒複雑に絡まりあって麻雀界を包み込んだ夜。














