逆風に抗う小さな天才
麻雀の不条理が堀慎吾を襲う
文・江嵜晋之介【月曜担当ライター】2022年11月28日
第1試合
東家:本田朋広(TEAM雷電)
南家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:村上淳(赤坂ドリブンズ)
北家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
Mリーグ2022レギュラーシーズン33日目。
サクラナイツの先発は堀慎吾。
今月はまさかの3連続ラスを引き、個人成績もマイナスに転落している堀だが、前回の試合では粘り強い麻雀を見せ見事2着を勝ち取った。
毎シーズン安定した成績を残している堀のことなので、一時的にマイナスが膨らんでもその内プラスになると、そう思っているファンも多いだろうし、実際そうなるだろう。
しかし、堀への逆風は今回も吹き荒れることになる。
東2局
この局、初めに動きを見せたのが本田だった。
ドラドラのイーシャンテンから、上家の滝沢がツモ切ったをチーする。
イーシャンテンからイーシャンテンへの鳴きだが、ドラを3枚使い切ることができる鳴きだ。をチーではなくポンしてドラ3をアピールし、他家にプレッシャーをかける策もありそうだが、ここは目立たない鳴き方を選択する。
とのシャンポン部分がネックになるかと思われたが、数巡後をあっさり引き入れる。
待ちの8,000点テンパイ。淀みないツモと選択がマッチし、チャンス手を作り上げる。
このテンパイ打牌であるを、堀はでチー。打とする。
を残せば・一通のイーシャンテンにとることもできるが、受けを狭くしてでも高打点を逃さない道を選ぶ。ペンチャン・カンチャン残りではあるものの、ホンイツ・一通5,800点のイーシャンテンでもあり、やが引ければ12,000点に化けることもある。
満貫・リャンメンテンパイの本田に対して、愚形残りのイーシャンテンである堀は中々部が悪く思われたが、ここから展開が堀に見方する。
本田がすぐにをツモ切り、堀がポン。
道中危険牌を引いた本田が回りながら食らいつくも、堀が終盤にをツモ。2,600オールのアガりとなる。
直近の苦しい展開が続く堀、風向きが変わるか。
続く東2局1本場、無駄ツモ無しで4巡目テンパイ。
ドラのとのシャンポン待ちで、が一枚切れているが、堀はノータイムでリーチ。
ともに山に1枚ずつ残っていた。
堀の一人旅となるかに思われたが、ここでもまた本田が立ちはだかる。
愚形残り、打点の無いイーシャンテンだった本田だが、リーチが入った後に3面張変化・赤ドラ引きとみるみる育ち、堀のリーチからわずか3巡後に追いつく。待ちは。
このがなんと山に6枚生きていた!
一発でを引き当て、3,000-6,000のアガリとなる。
前局、鋭い仕掛けで加点に成功した堀だったが、この親被りによりほぼ帳消しに。東1局に満貫をアガった滝沢を抜き、本田がトップ目に立つ。
変わりかけたように思えた風向き、しかしまたしても堀へ逆風が吹き始めていた。
東4局、イーシャンテンから切ったが、タンヤオ七対子ドラドラのダマテンを入れていた滝沢への放銃となってしまう。
同巡にが切られており、殆ど当たることがなさそうなに声がかかり、少し驚いた顔をした後、堀は肩を落とし、静かに点棒を支払った。
このアガリにより滝沢が本田を突き放すも、本田も負けじとアガり返す。
続く東4局1本場、役なしカンでテンパイを入れた本田は、少考しながらもリーチ。場況の良いに賭けた選択が功を奏し、一発ツモで1,000-2,000をツモアガる。
平均打点が約6,700点のMリーグにおいて、役なしカンチャンのリーチはかなり珍しい。場況が良く、かつ8sが親の現物なので攻め返された場合討ち取る可能性が高まっていることが理由と考えられるが、自身の読みと心中できる思い切りの良さが、今シーズンの本田の好成績に繋がっているのかもしれない。
南場に入った時点でトップ争いの滝沢・本田、ラス争いの村上・堀と完全に二分化する。
南2局1本場
堀の親番、トップを目指すための最後のチャンスとも言える。