1月27日(金)の第2試合、今日までの赤坂ドリブンズの苦境を覆すために降り立ったのは、
ゼウスの異名を持つ鈴木たろうであった。
東2局1本場、たろうは早々にチートイツドラドラのイーシャンテン。
絶好の字牌を3種残し、正にインドラの矢を放つ瞬間を待つばかりである。
しかしこの卓で神を待ち構えていたのも、また人外の者たちであった。
北家のKADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾がこの手牌で序盤から生牌の字牌を連打。
マンズのホンイツを狙うなら字牌に色気を残したい手牌であるが、
すでにたろうのチートイツを警戒し、待ち頃の牌を先に散らしているのである。
このとき最もたろうと勝負になりそうなのは西家の渋谷ABEMAS・多井隆晴であった。
カンとのイーシャンテンだが、を浮かせてソーズの愚形の解消ルートも残している。
多井の切ったに堀がペンチャンで食いついて場が動き出す。
イッツーだけを狙って、打。
打点はないが、アガリを見るならイッツーしかない。
安全牌を抱え、決して無理は通さず、ただ淡々と手を進める。
続いてこれに食指が動いたのは、東家のU-NEXT Pirates・小林剛だった。
やはりたろうのチートイツは意識していたものの、
堀の切った後にダブが重なって、自己の打点のために確保。
受けの広いクイタンより、たろうが余すかもしれぬの出を待つことにした。
堀はまだこの形。
は下家の小林に今鳴かれる牌、はまず全員の安全牌で、
たろうのチートイツに危険となる場一のから切っていく。
小林はがアンコになってしまい、いったんは役なしのテンパイ。
無論を鳴きたいところであるが、実はただそれを待っていただけではない。
ペンチーの堀がもしチャンタ仕掛けであれば、アンコのはネックかもしれぬ。
よって堀の上家の多井がを切るようなことがあれば、
ダイミンカンして堀のチーを阻止、あるいはリンシャンでのツモまで目論んで準備していたという。
するとあろうことか、堀の方も役なしとなるを持ってくる。
が、全く逡巡もせずツモ切り。
こうしておかないと安全牌を保ったままでのチーができないし、持てば危険になるだけだ。
魔物たちが、神の堂々たる手を執拗に潰しに来る。
不遜にも、役なしで。
多井がにをくっつけ、構想通りに場況のいい受けにシフトさせる。
ここで小林がを持ってきた。もちろん役はないのでアガれない。
さすがにこれはを落とすのではないかと思われたが──、
小林が場を見渡して、切ったのはなんとであった。
確かにこの状況。
ソーズの景色がかなり良く、縦重なりは十分期待できる。
正に我が意を得たりと、次巡のツモで役ありのテンパイ。
での出アガリは当然可、ツモアガリなら三暗刻がついてどちらでもOKという凄まじい手になった。