チームへの「責任」
〜鈴木たろう、苦渋の和了
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2024年5月17日
今シーズンはパイレーツの強さが際立っていた。
レギュラーシーズンからトップをひた走り、セミファイナルでも追いすがる風林火山を振り切って1位でファイナル進出。
ファイナルではシリーズ6日目で連勝を飾ってシャーレに大きく近づいた。
そして、16日の第1試合で瑞原明奈が殊勲のトップをもぎ取り、パイレーツの優勝がほぼ決まった。
もちろん、最後までわからないのが麻雀ではあるのだが、ここから奇跡の逆転劇が起こることを期待するのは(今シーズンに関しては)少し違うのかな、と思う。
そこで、だ。
前あるチームの人に聞いたけど、2位の2000万あると(そこは)損益プラスになるらしい。
裏を返せば2位くらいにはならないと、企業としては赤字部門なわけで、選手の責任感とかプレッシャーって今すごいと思う。
誰でも簡単に務まるもんじゃないよなー— 須田良規🌗 (@Suda_Yoshiki) May 16, 2024
競技麻雀に金の話なんて無粋な… というご意見もあろうが、プロスポーツとは「興行」の一面を併せ持つことは論を俟たない。
選手の最低年俸が400万円であることから、その分を賄うためには2位の賞金2,000万円が必要。
今シーズンを黒字で終えることは、チームの「責任」と言える。
第1試合
東家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
南家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:二階堂亜樹(EX風林火山)
北家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
チームランキング2位のドリブンズ。
先発のたろうは苦戦模様の立ち上がり。
東2局には岡田がリーチツモピンフ赤2ウラ2の6,000オール、
続く1本場では亜樹がリーチ一発ツモチートイツの2,000-4,000、
さらに東3局では優がリーチツモタンヤオウラの2,000-4,000を和了。
たろうには出番が来ず、南場を迎えて14,900点持ちの4番手。
仮にたろうが4位で終了して岡田か亜樹がトップということになれば、ドリブンズ2位陥落の可能性が色濃くなってしまう。
一つでも上の着順へ。
それが叶わないなら、少しでも良い条件で最終ゲームへバトンを繋ぎたい。
たろうの執念を追う。
南1局。たろうの親番。
大切な親番で失地回復を図りたいところだが、ご覧のとおりの配牌で苦しさが漂う。
2巡目にがトイツに。
ここで場風のを離すと優がポン
あまり見せない辛い仕掛けでたろうの親番を封殺しようと全力疾走。
マンズのホンイツには目もくれず打。
優勝のため、わずかな綻びも許さないという優の決意が垣間見える。
しかし、易々と親番を渡すわけにはいかないたろう。
以下の手格好からをポンして発進。