熱論!Mリーグ【Thu】
佳境を迎えるMリーグ…
滝沢和典ですら豹変する
選手たちが背負う重圧の正体
文・東川亮【木曜担当ライター】2020年1月30日
「大和証券Mリーグ」、1/30の1戦目を制したのは、セガサミーフェニックスの近藤誠一だった。
南3局、鈴木たろうとのめくり合いを制すると、
南4局ではトップ目の親で積極的な加カン、5800の打点を12000に引き上げてツモアガり、勝負を決めた。
その近藤が、インタビューで非常に印象深いことを言っていた。
「勝っているのに何で?って言われそうですけど、日に日に緊張がどんどん増幅していくんですよ。今もう、もはやフラフラで。もともと1試合打っただけでも集中しているんでフラフラになるんですけど、どういうわけか、その度合いがどんどん増していくんですよ。なんかもう、震え始めている感じです。ちょっと理解不能かもしれないですけど・・・なんかこう、怖い感じです」
チームは2位を200pt以上引き離しての首位、個人としては18戦ラスなしでスコアは400ptオーバー、傍目からは何の問題も無いように見える。
そんな近藤が発した言葉だからこそ、重い。
レギュラーシーズンが終盤戦に差し掛かっていくにつれ、Mリーグの舞台で戦う選手たちにのしかかる重圧は、視聴者でしかない我々には計り知れないものがあるのだろう。
2戦目
南家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
北家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
東2局、親の茅森が捨て牌3段目で確定一気通貫・カン待ちの先制リーチ。
一方で、手牌をマンズのホンイツにしていた村上も、急所のペンを引き入れてホンイツ・高目一気通貫のテンパイ。
しかしと切りきれないマンズを引き、まわりながらのテンパイが精いっぱいとなった。
最終手番、滝沢の牌姿。
を切ればテンパイだが、これは村上が打ち切れなかった牌である。
また、滝沢の目から見れば、マンズのホンイツである村上にも危ない牌だ。
最終手番での放銃はホウテイの一翻がつくため、決して安くはない失点をすることになる。
危険は百も承知。
それでも滝沢は静かに、を河に置いた。
思えば、2戦目に臨んだ4者の中でも、滝沢は特に苦しい状況にあったかもしれない。
チームは昨年末から不振に陥り、現在チームはセミファイナル進出ボーダーを下回る7位。
8位のドリブンズはここ数戦で連勝し、急激にポイントを戻している。
そして自身は、この日の初戦、配牌やツモなどの巡り合わせに翻弄されたにせよ、4着に沈んでいた。
目先の得点、そして勝利への執着。
この一打は、窮地にあるチーム状況を鑑みた、この試合にかける並々ならぬ思いの表れと言えよう。
ただ、どんなに強い思いを持っていても、それに牌がついてくるわけではないのが麻雀というゲームだ。
いったんはトップ目に立った滝沢だったが、茅森、朝倉のツモアガリなどでジリジリと点棒を削られ、南3局の親番を迎えたときには3着目まで順位を落としていた。
ここで加点できなければ、いよいよ自身もチームも窮地に陥る。
2巡目、滝沢はをポン。
ソーズのカンチャンターツからを払い、マンズのホンイツに向かう。
直後にもポン。
さらにまでも鳴いた。
Mリーグを、そして滝沢の麻雀を長く見ている人なら誰しも驚いたであろう、序盤での3フーロ。