しかし、を残してのどちらかを切れば、
のテンパイに取ることができる。
朝倉はを打ち、待ちを選んだ。
2巡後、白鳥からが打たれるが、これは条件をクリアしていないのでアガれない。
16巡目、朝倉がマンズをツモ!
見えたのは・・・。
。
痛恨のアガリ逃し。
結果だけを見れば、待ちで押し切っていれば、もっと言えば最初のテンパイで「腹をくくって」あるいは「運を天に任せて」リーチでも打っていれば、ツモって勝利していた。
我々のような、麻雀を楽しむだけの打ち手であれば、それでもいいのかもしれない。
しかし、朝倉はそれを良しとしなかった。
自身の選択、自身の麻雀を信じて貫いたが故の裏目だ。
画面越し、マスク越しでも伝わる、苦悶の表情の朝倉。
その横で、静かに牙を研いでいる男がいた。
勝又である。
ほんのわずかにしか見えなかった奇跡へのルートは、気づけば実現を信じられるくらいまでに開けていた。
そして・・・
16巡目、四暗刻テンパイ。
誰も鳴きを入れていないので、勝又のツモ回数はあと1回。
しかし、山にはアガリ牌のがあと1枚ある。
今年の麻雀最強戦でも、新津潔がオーラスで四暗刻をツモっての大逆転劇を演じている。
その再現が見られるのか。
勝又最後のツモは・・・
。
四暗刻、ならず。
朝倉も最後までツモれず、滝沢が手を伏せて対局は終わった。
開けられた2人の手を見て、滝沢はどんな思いを抱いただろうか。
4位の勝又健志。
難しい展開が続く中でも、中盤で一度は巻き返しを見せ、可能性を見せてくれた。
心は熱く、頭は冷静に、最後まで可能性を追った麻雀は「麻雀IQ220」の力を存分に発揮したものだった。
3位の朝倉康心。
インタビューでの憔悴しきった表情が、最後の選択のダメージを物語っていたように思う。
しかし、安易に道を定めず、最後まで最善のルートを選ぼうとした姿に、「プロ雀士・朝倉康心」のプライドを見た気がした。
2位の白鳥翔。
いつも通り攻守の押し引きが絶妙で、この試合でも大きな放銃はなかった。
ただ、ツモられることに関してはどうしようもない。
彼もまた、自分の麻雀を打ち切って、敗れた。
勝利した滝沢和典。
2度のハネ満ツモが決め手となって、Mリーガー対決を見事に制した。
麻雀最強戦では、大会形式が現行のものになってからは初めてのファイナル進出だという。
内容はもちろん、所作など見た目も美しい麻雀で、自身初の最強位を目指す。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、日本からさまざまな娯楽、エンターテインメントが失われた。
もちろん麻雀対局もプロアマを問わずほぼすべてのものが中止、あるいは延期となり、休業している雀荘も多い。
麻雀ファンの中には悶々とした思いを抱えている方も多いかと思われる。
そして緊急事態宣言が今なお続いていることもあり、この日の麻雀最強戦開催については賛否共にさまざまな意見があったそうだ。