王道か覇道か⁉︎
「勝利への道」を
手繰り寄せた二階堂亜樹の
ダマテン
文・渡邊浩史郎【金曜担当ライター】2020年11月6日
本日一回戦の4選手はなかなかに特徴的なメンバーが集まった。
1回戦
東家 沢崎誠(KADOKAWAサクラナイツ)
西家 高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
対局前の注目ポイントとして、解説の渋川難波プロはこう語ってくれた。
「比較的、王道の麻雀で勝ちに来るのが亜樹選手と高宮選手。そして道なき道を切り開いて勝ちに来る、いわば覇道の園田選手と沢崎選手。どちらの道が正しいかはわからないが、対照的な対決になるのは間違いないでしょうね」
なるほど、まさに言い得て妙である。亜樹と高宮は守備型と攻撃型の違いこそあれど、比較的まっすぐ打ち進めていく印象がある二人だ。一方の園田と沢崎は迷彩・ブラフ・先切りなんでもござれ、幾重にも手牌をこねくり回してうち進める印象が強い選手。王道・覇道という表現がふさわしい4者がそろったと言っていいだろう。
いわば王道・覇道の頂上決戦、そんな彼らの示す「勝利への道」を今日はご覧いただこう。
園田の覇道「良形聴牌取らずの愚形聴牌」
【東2局1本場】
亜樹が2連続アガりで大きく点数を伸ばした局面。
園田にこの好配牌が入る。ドラも赤もないものの、タンピンが色濃く見える手牌だ。
しかし重なったのは。タンヤオこそ消え、打点こそ寂しくなってしまったが、それでも良形聴牌を目指すなら十分な形だ。
そんな園田に手を差し伸べるかのように、引いたのは打点となる。これでリーチ赤1の待ち、申し分ない先制聴牌だが……
園田の選択は打ダマ!!
確かにタンピン変化もある手牌とはいえ、通常時であれば先制良形赤1のリーチは打つ人が大半であろう。しかしこの局には取らないに値する理由が大きく二つ存在したのだ。
Ⅰ点棒状況
今局はトップ目の亜樹が親であり、ツモアガリで縮まる点差がいつもより大きい。現在の点差は20300差であり、ここでマンガンをツモってもまだ8000点近く点差が開いているが。ハネマンを積もれば一気に2000点差近くまで詰め寄れる。この巡目でこの形であれば、後の手替わりでの高打点変化を見たほうがトップになりやすいと考えたのだろう。
Ⅱ親の亜樹の手の遅さ
この局、亜樹は役牌のを仕掛けているのだが、
一枚目をスルーして
直後に出た二枚目をポンしている。
いわゆる二鳴きという形だが、これは亜樹の手があまり高くないことを示している。高い手であれば一枚目で鳴くからである。
つまり園田としてはリーチを打たないことで考えられるデメリット。「親の亜樹から本来アガれていたはずの牌を切られて高打点の手を仕上げられ、トップがさらに遠ざかるという可能性」が薄くなっているのである。
上記の理由をもとに、園田は「役なし先制良形赤1聴牌を愚形に取ってダマ」という覇道を選んだのだ。
個人的にはすぐにをツモった時にどうしたのか見たかったが、この覇道の選択が見事にはまり、を引き入れて文句なしのリーチ!
そしてツモ!目論見通りの跳満ツモで、トップを逃さない鋭い覇道のアガリを成功させたのだった。
沢崎の覇道「意地の迷彩」
【東4局】
上と下で少し離れた局面。
ラス目の沢崎が自風のをポン。打として少しでもマンズっぽさをなくし、かつの出やすさを上げる先切り迷彩を見せる。
すぐにが出てポン。これで他家からはトイトイが本線に見えてくるだろう。
を残しても先切り、徹底してマンズのホンイツをぼかしていく。
こそ裏目ってしまうが場風のを重ねて跳満も見えるイーシャンテンに移行。ここは素直に打。
次巡持ってきたは当然ツモ切る牌、もしかしたらの先切りをするかもと思っていたら……