覚悟と執念の見逃し 渋川難波 セミファイナルに、食らいつけ【Mリーグ2024-25観戦記 3/3 第1試合】担当記者 #後藤哲冶

これをアガリ切った。
松本から点棒を取り返し、局を進行。
渋川にとっては悪くない、そんな半荘の、折り返し。

南1局

渋川が【8マン】を引いて選択。
ここは【1ピン】を切ってタンヤオのイーシャンテンに構えた。

萩原から【3ピン】が出て、すかさずこれをポン。
【5ピン】【8ピン】待ちのタンヤオテンパイ。先制テンパイを入れていた松本の待ちは残り2枚で、渋川の【5ピン】【8ピン】待ちは5枚残っていた。
枚数有利のめくり合い。

しかし、麻雀はあくまで先にどちらがあるか。
【4ソウ】を渋川が掴んでしまい、2000点の放銃。

2000点の出費で、局は進んだ。
未だトップ目。
しかしなぜか、嫌な雰囲気を感じる。そんな南場の入り。

南2局。ここまでひっそりと我慢を続けてきた萩原に超勝負手が入る。
アガれば12000はもちろん、18000まで見える。

7巡目、4枚目の【5ピン】も引き入れていた萩原に、待望のテンパイが入る。
待ちはカン【5マン】

次巡、【8マン】を持ってきて選択。
手変わりは少なくなったが、萩原はカン【7マン】に待ちを変えてダマテンを続行。
5翻はダマテンでもツモれば跳満になる関係上、ダマテンにしやすい。
出アガリでの12000も十分すぎる加点だ。

そこに追い付いたのが渋川だった。
松本から暗槓も入っており、ドラが増えている。
これを決めてトップへ近づくべく、当然の【5ソウ】【8ソウ】待ちピンフリーチ。
しかし前述したように、萩原が大物手をダマテンにして待ち構えている。
大きな大きな、終盤のめくり合いは――

萩原に軍配!
あまりにも大きな6000オール。
誰もが抜け出せずにいたトップ争いを、一歩先んじた。

【5ソウ】【8ソウ】も4枚山に残っていた。
しかし麻雀はどこにどの牌が眠っているか。
今回は萩原にとって嬉しい順番に、牌は置かれていた。

南2局1本場。それでも渋川は、当然まだトップを諦めてなどいなかった。
萩原との点差は16000点ほど。ここで満貫ツモをしてしまえば、萩原との点差は12400点縮めることができる。
まだ射程圏内といって良いだろう。

6巡目。【2ソウ】を引き入れてイーシャンテンに辿り着いた渋川。
愚形ターツである【2ピン】【4ピン】を払っていけば、リャンメンと三面張のイーシャンテンだ。

が、ここで渋川が選んだのは【7ピン】【8ピン】落とし。
最大でリーチピンフにしかならないリャンメン三面張より、三色ドラ1が残るルートをとった。

欲しいのはトップ。
これを必ず満貫以上に仕上げて、もう一度トップを狙う。
そんな渋川の声が聞こえてくるような、打牌選択。
次巡のツモは――

【2マン】……!
三色が確定。迷いなくリーチへ。
最低でも8000、そして12000まである、高打点の手に仕上げた。

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