近藤誠一、強さの証明
高打点を逃さぬ手筋で
セガサミー
フェニックスNo.1に
観戦記者:東川亮 2022年5月31日(火)
2021-22シーズンのMリーグにおいて、セガサミーフェニックスは複数回のオンラインパブリックビューイングイベントを行った。そのなかで、ファンから多数の要望が寄せられたのが「チーム内対局」、魚谷侑未・近藤誠一・茅森早香・東城りお、フェニックスの4選手による闘牌である。
そうした声を受けて開催された「セガサミーフェニックスNo.1 決定戦」は、実況に日吉辰哉、解説に現最高位の鈴木優という、本格的な対局放送として公開された。今回はただ麻雀をするだけでなく、勝者には「シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート」のペア宿泊券、そして6月5日に行われる「麻雀最強戦2022 Mリーグスペシャルマッチ」出場権が与えられる。対局は麻雀最強戦ルールによる一発勝負。セガサミーフェニックスで一番麻雀が強いヤツは、誰だ!
東場は魚谷以外の3者が小さいアガリを決め、あまり点差がつかないままに終了。迎えた南1局、東城にとんでもない手が入った。配牌で三暗刻完成、チャンタ、さらには四暗刻も見える。赤がないぶん切りでチャンタを強く見る進行も考えられたが、ここはシンプルに目いっぱいの切りから。
少々時間がかかったが、引きでテンパイ。三暗刻を保った単騎待ちから、いい待ちへの変化を模索する。
でのツモアガリは逃したが、そのあとに引いてきたは場にが3枚見えていること、自身でドラをツモ切っていることから、絶好に見える牌。を切って待ちをスイッチ。
これが近藤の放銃を誘い、親の60符2翻、5800のアガリとなる。東城は次局も茅森から5800は6100をアガり、接戦から半歩抜け出した。
南1局3本場。
トップ取りのために打点を作りたい近藤にドラ含みで形がまとまったチャンス手が入る。マンズのチンイツも狙えたが、ここはを切ってタンヤオピンフドラ、うまくいけば三色も狙える柔軟な形に構えた。
4トイツだった茅森は、東が暗刻になったことでのトイツ落としでホンイツへ。これをノータイムで選択したところに、茅森の思い切りの良さや意志が伺える。
最初のテンパイは魚谷。、とポンしており、さらにもポン。役役トイトイの満貫で、打点も十分。
魚谷のテンパイ打牌發を茅森が鳴き、こちらもテンパイ。ホンイツ、テンパネ5200は打点もまずまずだ。
そこへ近藤も追いついてリーチ。高目ツモならハネ満からという大物手。東城以外の3者がぶつかった。
アガったのは4番手の茅森。このアガリで供託も回収し、一気に2番手へと浮上する。
南2局1本場、近藤に選択の場面。345の三色が見える状況で、と、どちらのトイツを外すか、あるいは思い切ってドラを切るか。
やはり近藤は、ここでマックスの打点を見る。ドラ含みの三色は逃さず、それでいてマンズの伸びも捉えられる切り。なんとも近藤らしい一打だ。
を引き入れて確定三色でテンパイ。
魚谷から出て、8000は8300。これで魚谷以外の3者が三つ巴となった。
南3局、追い上げムードの近藤が、面白い選択を見せる。3巡目にを引いたところで、のトイツ落とし。789三色や一気通貫など、手役を見た選択。軽々に孤立の牌に手をかけない、近藤の構想力が光る一打。
近藤のイメージ通りに牌が寄って、手はジュンチャン三色ドラの1シャンテンに。そこへを引いて、手が止まった。ここはを縦に引いても高目三色のリャンメン待ちリーチが打てるだけに、ノータイムで南を打つ打ち手が多いのではないだろうか。
だが、近藤の頭には安目リーチのみになるような手組みはなかった。ツモ切りは驚きだが、近藤らしいと言えば近藤らしい一打。
次巡、絶好のを引いてリーチ。最終形は同じでも、の切り順が、近藤誠一という打ち手の大きさを物語っている。ツモとツモでは、実に6翻もの差があるが(ならジュンチャン三色ドラ)、日吉は「をツモる」と言い切った。実際、山には残っていた。
だが、近藤はなかなかツモれず、局は最後の巡目へ。そこで、魚谷に合わせて東城が切ったを茅森がチー、形式テンパイをとった。茅森としても、ここでテンパイ料を取れるかどうかは後の戦いを大きく左右する。
鳴いてアガリが生まれた、消えたは、山を積んで行う麻雀にはつきもの。そしてアガリ牌は高目が1枚。最後の近藤のツモはでツモはならず。そして、本来近藤がツモるはずだった牌は・・・
だった。こんなことが往々にして起こるのも、麻雀の面白さである。
ここまでアガリがなく、大きく出遅れていた魚谷は、三色の1シャンテンから生牌のを打ち出した。自分の手や打点状況を考えれば押したいところだが、この時点で東城がポン、チーと2つ仕掛けており、マンズのホンイツが濃厚。かなり強い一打に見えた。そもそもをポンした東城にドラそばのが強い。
東城はホンイツテンパイ、を2枚持っていたが、雀頭だったために声はかからず。