天国の茅森早香、
地獄の逢川恵夢
文・飯盛裕美子【臨時ライター】2025年12月18日
昨シーズン、涙の優勝を果たしたセガサミーフェニックス。だが今期は一転、序盤から苦戦を強いられ、チーム全体で大きくポイントを落とす厳しい展開が続いていた。11月時点でマイナスは実に-519.9pt。ここからの巻き返しは、奇跡を待つような心境だっただろう。
だが、選手たちは諦めなかった。少しずつ積み重ねたトップの数々が、チームに希望の光をもたらす。そしてこの日、ついにその瞬間が訪れる。茅森早香が叩き出した79600点という驚異のスコア。+99.6ptという大トップにより、ついにチームはマイナス域を脱出。順位も4位に浮上した。
対するEARTH JETSにとっては、この試合は是が非でもトップが欲しい状況だったが、まさに“地獄モード“に突入したかのような展開が待っていた。
第2試合
東家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:逢川恵夢(EARTH JETS)
西家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
北家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
東1局
茅森は一向聴で打
を選択。ドラ受けである
を浮かせたまま、愚形+愚形の一向聴を維持する形だ。解説の土田はこの打牌に一瞬反応を見せる。形を整えるなら場に1枚見えているペン
のターツ払いが自然に見えるが、下家・多井の河が変則手の気配を感じさせている。
をツモってテンパイ、ペン
待ちを即リーチ。堀がタンヤオ一盃口ドラ1のテンパイを入れるが先に茅森がツモ。
リーチ・ツモ・赤・ドラ・裏ドラ1の満貫ツモで、開局から最高のスタートダッシュを切った。
東2局
親番を迎えた堀が先制リーチ。逢川が一向聴で粘りを見せるも、堀が自らツモり上げる。リーチ・ツモ・ドラ1、そして裏ドラが3枚乗るという強烈な跳満のアガリ。これは逢川にとっても、多井にとってもきつすぎる展開。
東3局
跳満を親被りした逢川が、文句なしの手牌から先制リーチをかける。
のポンをスルーし、リーチドラ1、![]()
待ちの好形テンパイ。山には4枚残っていた。
茅森は対子手を意識した進行を選択肢しており、思考とツモがバッチリと噛み合いムダヅモなしのテンパイ。七対子赤2ドラ2、親の跳満テンパイ。待ちは
、山に1枚。茅森はこれをダマテンに構え、逢川のリーチに対して通っていない無筋を逡巡なく押していく。
堀も勝負手の一向聴だったが、先制リーチに加えて、さらに無筋を押してくる親の茅森の気迫に押されたか、ここは降りを選択をする。
その後、逢川がツモった
をカンすると、新ドラ表示牌は
。逢川の待ち牌である![]()
は残り3枚になったが、それでも3対1と逢川有利は変わらず。が、しかしその直後逢川がつかんだのは、よりによって茅森のアガリ牌であるドラの
だった。18000点の放銃となる。
ミスをしたわけではない。選択も間違っていない。ただただ非情な展開。これが麻雀というゲームの厳しさ。逢川はわずか3局で箱下まで沈んだ。
東3局2本場
流れを変えたい逢川が先制テンパイでリーチ。堀が仕掛けてテンパイし、逆襲の構え。逢川は堀の当たり牌を掴み3900の放銃。もはやどう足掻いても裏目を引くような、地獄のような展開が続いていく。
東4局
そこへ逢川が平和三色確定のテンパイ。

押し出された
が放銃。リーチ、赤2で7700点の失点となる。まるで「三色をテンパったからこそ放銃した」と言われているかのような、皮肉な結果。
南1局2本場
茅森が再び満貫ツモ。タンヤオ・ドラ1・赤2。ライバル堀の親を蹴って加点。理想的な展開。
その後も茅森は細かいアガリを重ねていく。
南3局
茅森の親番。ここで「ダメ押しのダメ押し」となる6000オールをツモり上げる。リーチ・ツモ・タンヤオ・三暗刻・裏ドラ2。跳満。
南4局
















