熱論!Mリーグ【Mon】
亜樹&タッキーの
「王道の麻雀」と
「顔芸」で勝つ!
風林火山の侵略計画
文・花崎圭司【月曜担当ライター】2018年11月05日
人間、性分というものがある。私は100局あったら100局アガりたい。
でもそれではダメだと思い、どっしり腰を据えた麻雀を打とうと思った。その時お手本にしたのが
二階堂亜樹プロと、
滝沢和典プロだ。
しかし付け焼き刃の粗悪コピーではどうしようもなく連戦連敗、結局鳴き散らかす麻雀に戻った。自分はそういう性分なのだ。
だから二階堂亜樹プロや滝沢和典プロの麻雀を見ていると「我慢強いなあ」と思う。普段の2人の性格は知らないが、麻雀を見るかぎり、本当に我慢強いと思う。
メンゼンで手役を作り、状況判断し、自分の手と相手の動向を天秤に掛け、行くときは行く。オリるときはオリる。
「王道」の麻雀だ。
しかし2人の麻雀には悲壮感がない。
「いい手だから勝負にいきたいけど、アガりに向かうと放銃するから撤退だ。断腸の思いである!」
と口唇を噛んで安全牌を切る、というよりは
「まあ仕方がない。いけるところまで回って、ダメだったらオリよう」
という感じに見える。
そう見えるようになったのはMリーグが始まってからで、ここで戦う2人の顔がとても表情豊かなのだ。
相手に自分の手牌状況がバレてしまうのではと思うぐらいだ。
でもこの2人、どちらかというとポーカーフェイスのイメージだった。亜樹プロは困ったとき、片方の頬を膨らませ頭をポリポリかくぐらい、滝沢プロも淡々と打牌する印象だったが、Mリーグだと真反対になった。
その表情種類も「苦しんでいる」のではなく「困ったなあ」という感じだ。多井隆晴プロや瀬戸熊直樹プロは、言うならばもがき苦しんでいる表情。洗面器に顔をつけて、先に顔を上げた方が負け、みたいな苦しみがある。一方亜樹プロ、滝沢プロは「困難」を「楽しんでいる」ように見える。そこがチャーミングなんだろう。
そんな2人はどちらもEX風林火山の所属だ。
Mリーグ第6週、21節。
第1回戦は、
東家・石橋伸洋(U-NEXTパイレーツ)
という顔合わせになった。
亜樹プロは、リーグ戦の序盤、ラスはないものの勝ちきれない戦いが多かったがこの最近は2連勝と波に乗っている。
東1局はドラのを切り先制リーチ。
の三面待ちで、
をツモる。お手本のようなアガりだ。
【亜樹最終形】
ツモ
しかし東3局の亜樹の親番。黒沢からダブルリーチが入る。
【黒沢手牌】
ダブリーはツモ番が増えるのでもちろんアガる確率は高い。しかも黒沢の手にはドラのが3枚入っている。そんなことは亜樹が知るよしもない。だがそんな黒沢の2巡目、
ツモってきたのがドラので、それを暗槓する。2巡目でハネ満確定なのが見えた。
「これはやってられない」というのがまわりの正直な気持ちだろう。親の亜樹はなおさらだ。ここから16巡、厳しい行脚の始まりである。
もちろん巡目が進めば進むほど安全牌という“灯り”がともるが、黒沢がアガるチャンスも増える。「前門の虎、後門の狼」である。
しかしそう親番を簡単に落とすわけにはいかない。粘りに粘ってチートイツのいテンパイを入れる。
【亜樹手牌】