世にも奇妙な牌語
~黒すぎたデジタル~
文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2022年2月18日
【第2試合】
東家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
南家:二階堂亜樹(EX風林火山)
西家:石橋伸洋(U-NEXT Pirates)
北家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
「人間万事塞翁が馬ということわざがあります。
結果が幸運だったのか、不運だったのかは容易に判断しがたい物。
世紀の大失敗が、世紀の大発明を生み出すこともあるのです。
これからご紹介するのはある黒すぎた男の顛末。
先に言っておきますが、彼の真似をするのもほどほどに。
人を呪わば…… といいますからね」
【東1局】
この日まず主導権を握った石橋。イーペーコーの単騎聴牌取りからスムーズに一枚切れのを引き入れてリーチ。
これが黒沢の対子落としを誘発。一発でとらえて5200の加点。
【東3局】
局は進んで東3局。迎えた親番、配牌こそ微妙な形だったが……
無駄ツモ一切なしのファースト聴牌を果たす。当然待ちの先制リーチを……
かけずに、単騎のダマテン!!
ここは打点を見た形。打点の見方もドラ引きピンフ・567三色・一気通貫といろいろあるが、今回はマンズの上良しと見ての一気通貫残し。黒いデジタルが炸裂だ。
次巡引いたのは単騎そのものの。嬉しいけど嬉しくないような、500オールのツモアガリ。
【東3局1本場】は王牌に5枚当たり牌を格納された黒沢のリーチをかいくぐっての聴牌取りで連荘を重ねる。
【東3局2本場】
三段目ながら、ファースト聴牌は親の石橋。タンヤオピンフ赤ドラのマンガン確定。ツモならイーペーコーもついて6000オールだ。仕掛けている園田の現物待ちのため、ダマテンに構える。
をポンしている園田もここでホンイツのみの聴牌。カンチャン落とし・両面落としが入っているとはいえ、ホンイツ確定とまでは言い切れない河。はかなりのいい待ち。
石橋もを真っ直ぐプッシュ。園田の最終手出しのそばでかなり切りたくないところだが、ここは自身の形優先。4枚見え、3枚見えで単騎と両面にしか当たらない牌なのも後押ししたか。
園田もこので考える。石橋はドラの後の安牌手出し。そして手からの猛プッシュ。先切りにしか当たらない牌に見えるので……
ここは切っていく。供託2本落ちていて一応ラス目。これくらいは行くという判断だ。
「園田さん。来るんですね?」
「じゃあその背中……」
「押してあげますよ。」
黒いデジタルがここで発動! を切ることで、を盲点にさせると同時に他色の危険度を上げることで降ろし率を上げようという悪魔的発想。
脇は降りているため、完全に園田だけを狙った一打だ。
唯一懸念点があるとすれば、それは……