ハロウィンの夜を熱狂させた
松ヶ瀬隆弥
とっておきのギフト
文・東川亮【月曜担当ライター】2022年10月31日
10月31日はハロウィン、らしい。世の中では仮装をしている若者で賑わっているようなところもあるそうだが、大和証券Mリーグはそんな夜も他の日と変わらぬ、熱い戦いが繰り広げられている。
2022年10月最後の試合。Mリーグスタジオでは、仮装ではないもののかなり派手な頭をした料理上手な男が、チーム、対局者、視聴者やファンに、とっておきのギフトを用意していた。
第2試合
東家:松ヶ瀬隆弥(EX風林火山)
南家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
西家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
天才の日は、天才のための日か
日本の記念日を管理する一般社団法人・日本記念日協会によると、10月31日は「天才の日」に認定されている。
この日出場している茅森の異名は「天才すぎるオンナ雀士」。Mリーグでは特筆すべき打点力を誇る彼女が、まずは試合をリードする。
全員が2万点台で迎えた東4局、親の茅森にダブトイツ、ドラドラ赤という破壊力のある手が入る。
伊達の2枚目ポンで打ち出されたチー。急所を解消し、4巡目にしてテンパイ。1枚切られているの後付けだが、それだけにつかんだらアガリに向かうなら止めようがない。
そこに、松ヶ瀬がペン待ちでリーチをぶつける。前巡にのくっつきからドラ受けのを切っているのだが、これは最終形がマンズ待ちとソーズ待ちの選択で、ドラ色ではないソーズ待ちの方がアガリやすいと踏んでの選択だったという。愚形待ちとはいえ巡目は早く、このリーチで茅森の勝負手を潰せれば大きい。
勝負手の茅森はもちろん戦うのだが、役がなくてアガれないドラを先に引いてしまった。ドラをツモ切ってのテンパイ維持では、残り1枚のをツモったときしかアガれなくなってしまう。
というわけで切り。こうしておくと、を使って松ヶ瀬の現物東を落としていくタンヤオ移行、あるいは引きやポン、を引いてアガれるテンパイが復活するルートが残せる。
引きでテンパイ復活。しかもドラ3赤でハネ満と、打点もさらに強烈になった。
優の追っかけリーチを受けた直後、との選択。見た目はどちらも生牌、しかし3枚切れということで、むしろ固められている可能性を考慮して待ちにスイッチすると・・・
残り枚数は共に1枚だったが、が松ヶ瀬のツモにいた。18000の直撃は大きい。
茅森は次局、わずか4巡で4000は4100オールをツモアガリ。天才の日は、「天才」の日か。これで茅森のトップはほぼ確定したかに見えた。
天才がハマった落とし穴
厳しい放銃で大きなラス目となってしまった松ヶ瀬だったが、南1局3本場、自身の親番でチャンス手が入る。3巡目にして1シャンテン、イーペーコー赤が確定しており、うまく雀頭ができればタンヤオやピンフも絡んで満貫、ハネ満クラスが容易に見える。
先にが埋まっての単騎テンパイから、1枚切れの単騎待ちに変わったところでリーチ。結果的にリャンメンターツ落としの形となっており、相手からは好形テンパイに見えそうだ。
このリーチに対して茅森もある程度押していっていたが、さらに強烈な押しを見せたのが「戦闘民族」こと優。1シャンテンから手の内に4枚あったを暗槓すると、
リンシャンでの引きでテンパイ。イーペーコーで役あり、待ちとしては不十分ということもあってか、いったんはダマテンに構える。
次巡の引きでツモり三暗刻に変化、ツモならハネ満スタートという大物手に化けたこともあり、ここでリーチに踏み切った。
2人のリーチに対し、途中まで形を保っていた茅森が最後に手詰まってしまう。
2人の共通現物はなく、中スジや後スジなどにもリスクを感じたか。
ここでのツモ切りが、後の戦局を大きく変えた。
リーチイーペーコードラ赤、12000は12900。これで松ヶ瀬が、一気に息を吹き返した。
戦闘民族の回避ルートに仕掛けられた、繊細かつ巧妙な罠
南1局4本場。
優が三色と一気通貫の両方が見える形から、抱えていると後のリスクになり得るを先に処理すると、